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第20回『主体性』

2019年10月31日

チームビルディング・バイブル

 

組織づくりと人づくりに必要な9つの要素

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【 組織を一つにするもの 】
 ●自分たちらしさ
 ●目標、ビジョン、ゴール

【 ベースとなる組織文化 】
 ●心理的安全
 ●多様性と受け入れ合い
 ●主体性

【 組織として学び、進化し続けるための行動 】
 ●混ざり合いを起こす
 ●失敗や異色な発想を受け入れる
 ●行動量やコミュニケーション量を増やす
 ●リフレクションを行う

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――フラット型組織で成果をあげていくために必要な
「ベースとなる組織文化」の要素である
「心理的安全」「多様性と受け入れ合い」について
これまでお聞きしてきました。

※各回へのリンクはコチラ

●ベースとなる組織文化
●心理的安全同(理論編)
●多様性と受け入れ合い同(理論編)

 

河村 甚(以下じん):今回は、3つ目の要素である「主体性」です。


「うちの組織は、フラットで、お互いに受け入れ合えている。
安心感もあるし、自分たちらしくていいよね」。

これを聞いてどう思いますか。
「多様性と受け入れ合い」が起こっていて「心理的に安全」。
一見素晴らしい組織のように聞こえますね。
しかし、これだけではぬるま湯に浸かっている状態に過ぎません。

「安心してリラックスすること」が目的のコミュニティだったら話は別ですが、「チームとして成果をあげること」を念頭に置いた組織では、一人ひとりが主体的であることが重要です。

今日はベースとなる組織文化を形成するうえで欠かせない「主体性」について説明していきます。


ーー「もっと主体性を発揮してほしい」「主体性が足りない」などとよく耳にしますが、
ここでいう「主体性」とは何でしょうか?

 

じん:組織構造の違いの側面からご説明しましょう。

ピラミッド型組織とフラット型組織の大きな違いの1つが「主体性」です。

実は、ピラミッド型組織では主体性が無い方がいい場合もあります。
上からおりてくる指示や意志決定に従って間違いなく実行するということが求められるピラミッド型組織では、メンバーが自分で考えて行動しては困るということがあるのです。

また、ピラミッド型組織のなかで自分で考えて発言したとしても、それが全体の方針と異なれば、すぐに変更されてしまいます。
そのような風土のなかでは、主体性は崩れてしまいます。


――なるほど。では、フラット型組織はどうなのでしょうか。

 

じん:ピラミッド型は組織構造的に指示待ちの状態が起こりやすいのに対し、フラット型組織では自分で考えて決定し、行動することが求められます。
フラット型組織では指示が上からおりてきたり、誰かが決めてくれたりするということがありません。
ですから、一人ひとりが自分で考えて、関わり掛けて、行動しなければ、組織自体が機能しなくなってしまうのです。

指示待ち・承認待ちの姿勢では、環境の変化やスピードの速い環境では生き残っていけません。
生き残るためには、上からの指示を待つことなく、必要なメンバーと連携し、自ら素早く対処していかなければなりません。

ただし、権限と責任が伴っていなければ、いくら「自分で考えて行動しろ」と言っても誰も動きません。
「一人ひとりに権限と責任がある」というルールと、そのルールがきちんと運用される組織文化があることが必要です。

 


――「主体性」は、ピラミッド型組織とフラット型組織の大きな違いの1つということですね。

 

じん:はい。メンバーに主体性が無くても、ピラミッド型組織は機能しますが、フラット型組織はそもそも主体性なしでは機能しない構造なのです。

だから、フラット型組織ではメンバー全員が自分で考えて行動しますし、他の人に関わり掛けます。自分の中に動力を持っているイメージです。
フラット型組織では、他の人の動力で走らされるのでなく、自分のエンジンで走るということが大事です。

頼り合うこと・助け合うことはチームにおいてとても大切なことですが、その前提には、「それぞれのメンバーが依存せずにきちんと自立している」ということがあります。

フラット型組織では、各々が自立した上で、助け合う・受け入れ合うということが必須なのです。

 

――最後にまとめをお願いします。

 

じん:昨今、人材育成のキーワードとして「自ら考え、行動する人を育てる」ということがしばしば語られます。

しかし、多くの場合にその組織自体が、自ら考え行動することを抑制しています。
上司の言うことを聞かなければならない環境では、誰も自ら考えて行動するようにはなりません。

自分で決定する権限と、目指す成果を達成する責任(失敗の責任を負うことではない)を一人ひとりが持つことが伴わなければ、主体性はあらわれてこないのです。

一人ひとりが自ら考えて行動する。
助け合い、協力するけれども一方的な依存状態ではない。
「誰かに指示されたから」「仕事だから」ではなく、自らの内から湧き上がる動機に基づいて動く。

そんな主体性溢れる職場では、一人ひとりがより自分らしく、イキイキと力を発揮することができるのです。


――ありがとうございました。次回は「主体性」理論編です。

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