LIBRARY

ライブラリー

第77回『振り返りから価値を生み出す手法』

2010年07月08日

チームづくりレシピ

プロジェクトの実施後や研修を終えた後などに「振り返り」や「反省会」が行われます。しかし「そんな時間は取れない」「部下を吊るし上げる場になっている」「やったところで落ち込むばかりでなにも良いことがない」など、ネガティブな声も多く聞かれます。

「振り返り」や「反省会」は、本来前向きな理由や目的があるから行われてきたわけですが、それが見失われて形骸化してしまったがためにネガティブなことも起こります。しかし、いくつかのルールにのっとって行うと振り返りの機会をキチンと次の実践に活かせるようになります。

今回は、次に活かせる振り返りのルールについて紹介します。チームビルディングジャパンでは、たんに振り返るだけでなく、次に反映させるという意味で「リフレクション」とも呼んでいます。

ルールは以下の3つです。

1、 目的の確認
次の実践に活かすためである事を始める前に確認する。

2、 Respect
お互いに敬意をもって接する。

3、 KPTのフレームにはめる
Keep、Problem、Tryの3点についてだけ話す。

【目的の確認】

振り返りの目的は基本的に「次に活かすため」です。これがより具体的になるほどその効果は増してきます。たとえば、一週間の営業を振り返り次へ活かすための営業会議では「今週の営業活動を振り返り、来週さらに良い成果をあげるため」といった目的になります。その目的から考えると成績の悪い部下を上司が吊るし上げるだけでは全く目的にかなわないことがよくわかります。目的から離れたことは一切やりません。

チームで行った活動の責任はチームの全員が負うものです。個人を非難することが目的ではないので、改善すべき点があるのであれば全員で責任を負い、それぞれが出来ることをやるしかありません。

それから、話しづらいことを話さないことで、目的に近づかないということもしません。目的のために必要で共有すべきことをきちんと全員で話し、共有します。改善すべき点ばかりが出てくると「Aさんが悪いわけじゃないよ。自分ももっとこうしていれば良かった」「いやいや、Bさんそんなことないよ」といった傷のなめ合いのようなことも起こりえます。そんな表面上のお遊びで本質から遠のくのは目的ではありません。起こった事実はあるがまま受け止め、次の改善点へとつなげていきます。

「吊るし上げ」も「傷のなめ合い」も次に活かすためという目的には不要です。

【Respect】

上記のように目的に沿って話し合う場合に、誰かを傷つけてしまいそうな繊細な話題もあがってきます。多くの場合に「アイツがこうしなかったからいけない」などといった、敬意に欠けるやり取りが起こってしまいます。メンバーに伝えるべき事は伝える。しかし敬意を持って伝えないとその人は攻撃されていると感じてしまいます。そんな時に使える簡単で有効なテクニックがあります。

「相手に敬意を持っていると言葉で伝える」ということです。

「○○さんを否定するつもりも無いし、リスペクトしているということを知ってもらったうえで聞いてほしいんだけど・・・」といった具合です。最初は言いづらいかもしれません。でも、険悪な雰囲気になりそうな時、思い出して使ってみてください。ただ言葉にして伝えるだけです。自分が敬意を払われていることが分かると、相手に対しても敬意を払えるようになります。

【KPTのフレームにはめる】

次に活かすためという目的にしぼって話す場合に基本的に話す内容は3種類しかありません。それは以下の3つです。

・Keep :良かった点。次に似たようなことを行う際に継続して行うべきこと。

・Problem :悪かった点。問題があり、目指す成果を出す妨げとなったもの。

・Try :次はこうしようという点。上記の悪かった点をどのように改善できるか?または新たにやってみようと思いついたことは?

振り返りを始める時にKeepとProblemとTryの3枚の紙を用意しても良いですし、大きなホワイトボードを3つに区切っても良いです。この3つのフレームに当てはめて振り返ることでKeepとTryの部分を次に活かせば良いことが分かります。さらに、次へ確実に反映させるためには次のアクションまでひもづけてしまうことです。たとえば「次こうしよう」と決まったことを次回プロジェクトの「事前チェックリスト」にすぐに入れてしまって次回プロジェクトの前に確認することができます。まだアクションが具体的になっていないことでもアクションを具体的にするためのミーティングの日を決めてしまうということも出来ます。

しかし、アクションが見えないこともたくさん出てきます。それが悪いわけでは決して無く、メンバーがそれを意識し、次の行動へ反映されます。全てを無理にリストアップしようとしたりするとかえってうまく行かなくなってしまいます。振り返りの対話の中でそれぞれの中に残るものも成果です。

このような型にはめることで「振り返り」や「反省会」が機能するようになります。まずは型の通りにやってみることから実践してみてください。

オンラインでのご相談も
お気軽にどうぞ

チームビルディング研修・プログラムのご依頼やご相談など、お気軽にお問合わせください。

チームビルディング研修・プログラムの
ご依頼やご相談など、お気軽にお問合わせください。