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第82回『リーダーはなぜブレるのか?』

2010年09月15日

チームづくりレシピ

会社の中でも社会の中でも、リーダーの発言がブレる事は良くない事とされます。そんな事は百も承知のはずなのに昨日言った事と違う事を言うリーダーはたくさん居ます。
リーダーがブレてはいけないのには理由があります。またリーダーが分かっているのにブレてしまうのにも理由があります。

リーダーがブレてはいけない理由は、リーダーが「旗を振る役割」だからです。自分たちが進むのはこっちだと、旗を振ってメンバー全員に伝わるように示します。実際の行動としてはメンバーに理解され、共感される方針を示し、岐路に立った時にはメンバーが付いて来れる決断をします。この旗印が昨日はあっち、今日はこっちとブレてしまっては本当はどっちなのかが分からなくなり、メンバーが安心して付いて行けなくなってしまいます。

それでもブレてしまう理由は大きく2つあります。ひとつは日々環境は変わり、昨日決断した時点での環境と今日の環境とが同じではないからです。その時点でベストだと思える決断を繰り返さなくてはならないため、環境が変われば見解も変わります。それはリーダーに限らず、付いて来るメンバーもそうです。しかし、この判断の違いの意味がメンバーに伝わらないとそれは発言のブレとして伝わります。
たとえば、砂漠を旅するキャラバンが予定通りに次の町へたどり着けず、食料が足りなくなってしまえば一日あたりの食事を減らしてしのがなくてはなりません。食料が足りなくなってしまうかもしれない事が全員分かっていれば恐らくは食事を減らすことにメンバーは納得するでしょう。しかし、食料が足りない事をリーダー以外のメンバーが理解していない場合には「なんで昨日まではちゃんと食事ができたのに今日は食事を減らすんだ!」と反感を買うことになります。

もうひとつのリーダーがブレてしまう理由はリーダーが全体に伝わるメッセージを伝えるという役割をとりながら同時に一人一人に合わせて伝わるように伝えるという役割をとらなければならない事が多いからです。チームを構成するメンバーはそれぞれにその動機も違えば考え方、物事の捉え方も違います。Aさんにとって正しい事はBさんにとって間違っている事かもしれず、その両方を同じ旗印のもとに束ねて行かなくてはなりません。そのためには、AさんにはAさんに伝わるように、BさんにはBさんに伝わるようにメッセージを伝えて行かなくてはなりません。

例えばAさんがお金にモチベーションを感じる人であれば「この仕事がうまくいったらこれだけのボーナスを出そう」というメッセージで力を発揮します。しかし、Bさんが金で操られるのは嫌だ、自分がやりがいを感じられる仕事がしたいと思っているとしたら同じメッセージでは反感を買います。「この大仕事はあなたの力が必要です」と言われる事でモチベーションを感じるかもしれません。それぞれに伝わるように伝え、その上で同じように仕事を任せ、同じようにボーナスを出せば良いのです。
ここで失敗すると「ブレるリーダー」になってしまいます。全員に向けて「この大仕事はあなたの力が必要です」と伝えたら「そんなことより成功ボーナスを出せ!」といわれ、それを受けて「成功したらボーナスを出します」という発言に変わり、そこでまた「金で人を使えると思うな!」と言われたら「ボーナスよりもやりがいのある仕事です」などと二転三転してしまいます。

役割としてはこの「一人一人に伝わるように伝える」というものは実はマネージャーの役割です。リーダーの役割とマネージャーの役割を切り分けて理解し、自分が両方の役割を使い分けていると捉えられれば、こういった問題が起きた時にどう応じれば良いかの参考になるでしょう。

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