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第92回『対立から逃げない』

2011年02月03日

チームづくりレシピ

どんな組織でも意見の対立、考え方の対立は起こります。逆にそれが起こらないような組織は進化成長して行く事が出来ないでしょう。しかし、対立はつらいものです。「どうして相手は自分の言う事が理解できないのか?」「どうしてあんな考え方をするのだろうか?」とお互いの意見が食い違い、それによって気力も体力も消耗してしまいます。
しかし、この対立を無いものとして隠してしまうのは良くありません。なぜならそこにチーム内の認識ギャップがあるからです。認識ギャップはチームで共有し、それを超えて行く事でチームは進化成長してゆけるのです。この気力も体力も奪う対立をどのようにチームの成長の力に変えて行けば良いのでしょうか?

まず、対立を前にして、自分がそれをどう捉えているのかを認識する必要があります。
「この対立を避けようとしているのか?」
「自分が正しいので相手を言い負かそうとしているのか?」
「自分が間違っているけれど、なんとか正当化して相手を言い負かそうとしているのか?」
「自分の考えを相手に伝えたところで伝わらないからあきらめているのか?」
対立を前にした場合に、人によって、また時と場合によって色々な捉え方をしているはずです。対立の当事者となった時に、これが見えなくなってしまいがちですが、まず「自分がこの対立をどうとらえているか?」を認識することによって一段高いところから自分を捉えることができます。

そして一歩引いた視点で相手の考えを理解することに努めます。多くの場合に「相手の考えていることは分かっているけれど、相手は自分の考えが理解できていない」という捉え方になっています。これが双方でそう思っている状態なので対立が起こるのです。ですから、相手の考えが分かっているつもりでも、「自分の見えていない何かを相手は見えているのかもしれない」「表面上にある問題とは違う事が本当は問題なのかもしれない」という見方で相手の考えを理解することに努めます。

次に、自分の考えを伝えることに努めます。「相手は分かってくれない」とあきらめずに、素直に自分の考えを伝えることに努めます。相手に伝えるときには事実だけでなく、感情が伝わるように伝えます。対立していると感情的になりがちですが、「相手を打ち負かす」ことや「自分を正当化する」ことに感情的になっても逆効果です。相手には見えていないかもしれない自分の考えに感情を込めて伝えるのです。一番良くないのは「どうせ伝わらない」とあきらめてしまう事です。あきらめずに伝え続けることが重要です。

このようにして相手の考えを理解することに努め、自分の考えを伝えることに努めてゆくと、考え方のギャップが見えてきます。ここで重要なのがチームのゴールです。自分たちはどこを目指しているのか?何のためにやっているのか?ということに立ち返ります。どんな組織も、その組織が存在している理由があります。また目指しているあるべき姿があるはずです。明確なものが何もない場合でも「自分たちが一緒にこの組織で仕事をしていて、自分たち全体のためにとって良いことは何だろうか?」という見方を軸に置きます。そしてここに立ち返って考え方のギャップから何をどう選択して行けばいいのかを判断します。それでもまだ見えない時には同じサイクルを繰り返すことです。自分か相手のどちらか一方が本気で考えていれば同じサイクルを繰り返しても かならずスパイラル状に前に進んでいます。

大事なことは多様な視点、考え方、背景にある常識などを掛け合わせて、その中で目指すべき方向に向かうのに良いものが進化してゆくようにすることです。進化は固定的、閉鎖的環境の中では起こりません。より進化成長してゆくために多様なものが混ざり合い、活かしあい、進化して行く環境を作るべきです。
組織の中で対立が起こるということは対立が起こらない組織や対立を起こせない組織に比べて良い組織です。自然界のように厳しくあるものの、進化成長を促す良い環境にあると言えます。

そして最後に、対立を活かす上で一番大事なこと、それはお互いに敬意を持ち、相手を大事に思う気持ちを持っていることです。いくら意見を戦わせても、感情的にぶつかり合ってもかまいません。本気で怒っても泣いても良いと思います。しかしその奥に同じチームで同じゴールへ向かって進む仲間に対する敬意が必要です。しかしその逆も然りで同じゴールを本気で共有している仲間であれば、どんなに表面上対立していようとお互いに対する敬意が生まれてきます。対立はお互いが本当に同じゴールを目指していることを確認し合う良い機会でもあります。

対立から逃げずに、本気で前へ進もうとする時に組織が進化するだけでなく、自分自身も進化成長して行くことでしょう。

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