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第7回『マスクを着ける?外す? チームが変化に適応するために』

2023年06月01日

大きく社会を揺さぶった新型コロナウイルスが「5類」に引き下げられて3週間が経ちました。私たちは今再び、社会環境の変化に適応する必要性に迫られています。

コロナ危機のなかで、我々は自らがものすごいスピードで変化していくことを体験しました。最初の頃は社会環境に対して批判したり文句を言ったりする人もいました。しかし、社会環境を批判しても仕方がないしキリがない、適応して進化していかないと意味がないことを経験する中で、環境に適応し進化しなければ先に進んでいけないということを我々は学びました。

今回の「チームの社会科」では、チームが再び変化に適応するためにはどうすべきかについて考えていきましょう。

コロナ禍のこの数年間で、実に多くの物事が変化しました。多くの企業が倒産する一方で、逆にコロナで伸びた企業もあります。 人の捉え方や社会環境への適応の仕方も変わりました。
例えば学校の子どもたちへの対応は変化が大きかったことの一つです。学校ではとにかく感染拡大を防ぐために、「休校」「黙食」など安全を第一にする対応を行いました。児童・生徒はお互いに距離をあけて、マスクを外している時は一切話してはならない。それを3年ほどそれほど続けてきました。しかし今年度からマスクを外すか着けるかは個人の判断で良いことになりました。様々な行事も従来の形で運営されるようになってきています。

同じピラミッド型組織構造でも、学校や行政と企業とでは、社会環境の変化に対する適応のスピードに違いが表れました。学校や役所はトップダウンで方針が決まり、それに従ってみなが動きます。よって方針さえ決定すれば実践ははやいのが特徴です。
一方、同じピラミッド型でも企業の方が変化の動きは鈍く、現場では混乱が見られました。例えば、新型コロナウイルスが流行し初めた頃、「出社しなければ仕事じゃない」と考えている管理職がたくさんいることが話題になりました。会社としてはリモート勤務ができるように環境を整えたにも関わらず、それが機能しないという事態が発生したのです。
「出社しないと仕事にならない」「出社しないと部下の様子が把握できないから何をしていいか分からない」・・・リモート勤務が広がった時期に、変化に適応できないことについて我々にも多くのご相談がありました。
学校はトップダウンだからこそピラミッド型組織のスピード感をもって進みました。一方、企業の中でもトップが明確な意思決定をしなかったところは対応が遅れました。ピラミッド型組織では、有事の際には明確な意思決定をもってトップダウンで進むことが求められます。 

では、ピラミッド型組織ではなくフラット型でコミュニケーションができる組織はどうだったのでしょうか。フラット型組織はコロナ前から働く社会環境も自由なところが多く、会議はオンラインでも実施しており、ファイルもオンラインで共有され、チャットでコミュニケーションをとるということをそれまでにも当たり前にやってきていました。
つまり、「100%全員出社しないようにしましょう」と決まればその日からすぐに全員リモート勤務が実施できるくらいの体制が整っていたのです。元々フラット型のあり方を大事にしていたからこそ、有事の際にも社会環境への適応が出来たと言えるでしょう。システムも整えられており、人も慣れていたので、すぐにリモートワークへ移行できた企業が多くみられました。
コロナの影響で変化を余儀なくされたのではなく、社会環境の変化が起こる前から、現在求められているようなフラット型のコミュニケーションを元々大事にしてきていた企業は、スムーズにハイブリッドな働き方に適応しました。

コロナ5類引き下げに伴い、いま再び「当たり前」が変わりつつあります。企業の仕事のスタイルとしては、コロナ以前の姿に戻るのではなく、リモートでも出社でも、どちらを選んでもいいというハイブリッドワークが進むことでしょう。コロナを通して、この社会には「選べる仕組み」が残り、働き方の自由度が上がりました。
これは社会にとってコロナがもたらした、進化していく上での良い変化です。例えば、昔なら時短勤務をしなくてはならなかった人も、時短勤務でなくてもリモート勤務できるようになりました。 仕事の合間に洗濯物を干したり取り込むなどリモートなら家事を仕事の隙間にできるようになり、仕事と家事の両立もしやすくなりました。仕事と家庭を完全に切り離した方がいい人は、出社を選ぶこともできます。
働き方の自由度が上がることによって、「会社用の自分」を減らし「自分自身の全体性」をもって企業の中で活躍できるようになります。 これはプラスの資産として残っていくといいなと思っています。

コロナが5類に引き下げられたことで今後もいくらか混乱は起こるでしょう。オンラインでのコミュニケーションを対面にしていこうとする中で対面で集まっている人とリモートの人のコミュニケーションギャップが広がっています。

また、地域の行事を見ても、4年ぶりにお祭りやイベントなどを開催しようという動きもありますが、数年ぶりに実施する場合に、知識経験を持った人がいないためにその間に伝統が途切れて実施できなくなってしまっているという問題も起きています。この混乱の中で、コロナ前の状態に戻したいこともあるでしょうし、もう元には戻したくないことや前進するしかないこともあるでしょう。

コロナ後の社会が、単純にコロナ前に戻ることはありません。例えば、学校では紙で配布していたものがデータ配布になりました。また、会議といえば一堂に会するものだったのが、オンライン会議の選択ができるようになりました。これらはもう元に戻ることはありません。
この数年間経験し、我々が変化を通じて適応してきたものを糧として、一過性の変化ではなく次の時代を生み出していく必要があります。今まさに我々の意思として進化を選択することに直面しているのです。

そもそもチームが必要な理由というのは、環境の変化に柔軟に対応するため。社会環境の変化に適応し、進化するためにはチームの力が必要です。

コロナ5類によってしばらくは混乱が起こると思いますが、新しい「当たり前」に適応すべく進化していきましょう。

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