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第48回『変態を支援するチームビルディング(3)大人のための武者修行』

2017年01月26日

チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、代表河村がチームビルディングを切り口にさまざまなテーマでいろいろな人と話し合った内容をお届けいたします。

※今回の『変態を支援するチームビルディング(3)大人のための武者修行』は、
海外ビジネス武者修行プログラム」を運営されている
山口和也さん(株式会社旅武者 代表取締役)との対談です。

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の続きとなります。
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河村甚(写真右、以下 じん)
対談前に和也さんが話していた”大人向けの武者修行プログラム”ってすごいいいと思います。今の武者修行プログラムの参加者は大学生で、社会に出る前に国際ビジネスインターンシップの経験ができていることがとてもいいわけだけど、すでに社会に出ている大人たちがああいう経験をしていないという面も多々あると思います。

うちでも新人研修や内定者研修を行っていますが、チームビルディング研修を受けて希望を胸に入社していっても、上司に理解がないと潰されてしまいます。クライアントさんにも「役職が上の人たちから研修をやらないと」という話をしています。

武者修行卒業生のみなさんにも同じことが言えるのではないかと思います。 企業のなかにいる人たちが、武者修行プログラムの価値を理解できないかもしれない。(武者修行卒業生の)使う言葉の意味合いや重みなんかは理解できないとかね。

やっぱり大人もあれを経験したほうがいいってすごく思ってる。大人がやっても十分楽しい。楽しいっていうのは、夢中になって学びを得られる、価値があるという意味でね。

山口和也(写真左、以下 和也さん)
なるほどね……。企業にいて16年働いて、研修をしてもそれで何かが変わらない経験のほうが多い。それって上司かもしれないし、会社のカルチャーかもしれないし……、あまり効果的でない。 会社って大きいし、変わるための最初の1回転目が回りにくいなというのが中にいた印象としてはあるんですよね。

それで、”どこから始めていこうか”と考えた時、まだ真っ白な大学生向けに本質的なことを学んでもらうのが一番効率がいいのではないかという仮説を立てました。

武者修行卒業生が会社のなかで5年、10年経ってある程度の権限を持つようになったら、やりたいことができるようになってくるんじゃないかと思います。

もちろん、世間の荒波に飲まれてくじけそうになる人もいるとは思うけど、そういうところはコミュニティをつくってサポートしていきたいと考えています。

じん
なるほど。以前のプレゼンの中でも言ってましたよね。

僕が普段言ったりやったりしていることはどちらかというと逆のアプローチで、まずはトップ。“トップが変われば組織が変わる”みたいな感じで、新人に「チームビルディング合宿やってこい」っていうんじゃなくて、まず「役員合宿からやりましょう」と言っています。

トップが変わると当然、会社のカルチャーが変わる。どんどん自発的に育っていける会社になる。そんなことをチームビルディングジャパンでやっています。でも、和也さんの言うこともすごくよくわかります。

和也さん
本当にじんさんの言う通りで、会社のカルチャーは社長が依存する。なので、本当は両面なんですよね……。

じん
うん、両面からのアプローチがあるのが大切ですね。

和也さん
そういう意味では社長さんに直接アプローチできる規模の会社だと、両面からアプローチできるからいいかもしれないですよね。でも、ある程度以上の規模になると難しいですね。社長に会えないですからね。

じん
社会全体へのインパクトとか、社会全体にアプローチしていくということだと、和也さんがやっている大学生へのアプローチはすごく意味があるなと思います。

僕がこのチームビルディングジャパンをつくるときにいろいろ考えていて、10年以上前の妄想段階のときに、チームビルディングをやると。体験と対話から人の成長、組織の成長に繋がっていく仕事をしようというときに、大人向けにやろうか子供向けにやろうかって考えたんですよ。

子供向けにやりたいなって気持ちがすごくあった。というのも前回言ったように、自分が子どもの頃こんな学びを経験したかったんです。それに、大人向けもやりたいなと思っていた。大人たちが変わっていけば、社会も変わっていくかもしれない。

この両方を考えたときに、僕は和也さんみたいな純粋さがなかったのかもしれないんだけど、”子供向けじゃ儲からないな”と思ったんですよ(笑) 大人向けで儲かったら子供向けをやろうと思ってしまったわけですよ。それで、いまだにずっと大人向けだけやっているわけですけど(笑)

和也さん
そうそうそう! じんさんに限らずこの業界のみんなは同じことを言いますね。小・中・高校生向けのプログラムをやりたいんだけど、まったく食えないと。

みんなに言われました。「大学生は金がないんだからターゲットにすべきではない。金を持っている顧客相手に商売をするのが鉄則だ」と。私はいつも言っています。「そういう難しいことをやるために、わざわざ社会人大学院に行ったんだ!」と(笑) 一番ギリギリのところを攻めている感じですね。

じん
そこはやりたいことにこだわりを持っているからこそできることで、僕は創業当初そこに「どうしても」というこだわりは持っていなかった。大人でも子供でも良かった。今は社会づくりにチームビルディングを役立てたい、組織開発的なね、そういう気持ちが強くなってきた。

僕は創業時点でそういうこだわりはなかったけど、和也さんは創業時点でこだわり、軸、本質みたいなものをはっきり持っていて、そのうえで大学生向けにやっていることが素晴らしいと思います。

和也さん
“海外で日本人を活躍できるようにしたい”と思ったときに、ある程度の期間行かなきゃいけない。でも、社会人は難しい、会社を辞めない限り。ある一定の期間就業体験をするという意味で、大学生は効率がいい、日本に対するインパクトを考えたときに。

お金はないけど、お金がないからこそ、年間1,000人やるしかない。そう修論に書きました。

じん
すごくよくわかる。数をやらないと儲からないし、1,000人になれば社会的にもインパクトあるし、大学生だったら数も狙えるし。さすがマーケターだなと思いました。

和也さん
実際それぐらいやらないと食っていけないんですよ。数やるためにはどうしたらいいんだと考えて、プログラム期間を1日ずつずらして、大学生の春・夏休み中に実施できるプログラムの回数を増やしました。現在は12タームまであります。

じん
あと、プログラムの質がバイラル(口コミでの拡散)に影響していますよね。数を増やすと質が下がっちゃうという面もあって、大学生の強い伝染力が生きなくなってしまうともったいないですし。さっき言った武者卒業生の純粋培養ファシリテーターが出てくると、また変わってくるかなと思います。

和也さん
そうですね。今回から、現地コーディネーターは武者修行修了生にやってもらおうと思っているんですよ。

じん
ああ、素晴らしいと思います。コーディネーターからどんどんやっていけばいいですし、コーディネーターを3年くらいやってファシリテーターデビューしてもらったり、なんてこともあるかもしれませんね。

和也さん
運営側を経験すると変わりますね。3年後、5年後に面白いことになるんじゃないかと思います。
”サケの放流”じゃないですけど(笑) みんながみんなインフルエンサーになって広めていく。

企業向けでも興味を持ってくれているところは増えていますが、やるとしたらカスタマイズしないで提供して、そのままで受け入れてくれる企業でやったほうがいいかなと思っています。

さっきじんさんが言ってくれたように、コーディネーターがコミットしてくれるのとニアリーイコールだと思います。わたしの理想とも近いですし、ファシリテーターのモチベーションも上がると思います。
「企業の言う通りにカスタマイズしてください」というと、うまくいかない気がしています。

じん
カスタマイズのコーディネーションを上手くできる人が居れば……、難しいですけどね。ちゃんと企業の担当者の話を聞いて、「何を実現したいのか?」という本質、氷山の下の部分を聞いて、それを受けて、結果として「武者修行いかないほうがいいんじゃない」ということもあるかもね。

和也さん
私が想定しているのは、初めに言っちゃうんですよ。「武者修行は本質的なことをやりたい」と。そうすると会社を辞めてしまう人もいるかもしれないですよね(笑) もしやるとしたら、初めに言っちゃおうと思っています。

もし依頼をくれた企業がお客さんを喜ばせることではなく、自社の利益を大事にするようなカルチャーだとしたら、合わないかもしれないですね。「そうは言っても会社が稼いでなんぼだよ!」となるかもしれない。

なので、そういったうちで大事にしていることを飲み込んで受け入れてやってくれるところと一緒にできたら面白いことになるかなと漠然と考えています。

じん
対象層のイメージなんですが、あんまり古すぎず新しすぎず、大きすぎず小さすぎず、創業20年以内、でも5年以上はやってるベンチャーくらいかなと思いました。

人数は100人くらい。つまり、社長が全員の顔がわかるくらいの規模だと、しっくりくるかな。そのなかの社長選抜メンバー、10人限定、みたいな感じがいいかなと。

できれば、僕はそこに役職が上の方の人たちも一緒に入ってほしいっていう感じかな。

普段、我われのやるチームビルディング合宿なんかでもそうなんだけど、社長だろうが新人だろうが中間管理職だろうが、みんな一緒になってチャレンジしていく。その疑似アクティビティベースで起こったことから、日常の仕事のことについて考えていく。

大人向け武者修行でもそんなことができるかなと思っているんだけど、社長もいるし新人もいるしなんとか部長もいるというなかで、10人ぐらいで密にやる。武者修行で運営するベトナムのお土産屋さんの店舗で起こっていることが、じつは日常の職場でも起こっているかもしれない。

「このお土産屋さんで起こっていることって私たちの会社で起こっていることと同じじゃん」ということをみんなの共通言語として話せると、体験したものをベースに組織変革に繋げられると思います。

和也さん
面白いですね。組織に繋げるためにも、いろんな層の人がいたらいいですね。

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