多国籍メンバーが国境を越えて協働
人種も距離も乗リ越えたチームづくリのために
特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールドさま
飢餓問題を根本的に解決して「誰もが安心して食べられる世界」の実現に取り組んでいる特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワ ールド(HFW)。本部を日本に置きつつ、バングラデシュ、など4カ国に拠点を持ち活動しています。多国籍なメンバーが国境を越えて協働するHFW。その彼らがチームビルディングを取り入れた理由を、 事務局長の渡邊清孝さんに聞きました。
概要
◆課題◆ 達成志向を育みながら信頼関係も強めてたい
本部がある日本を中心にバングラディシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダに拠点を持つHFW。グローバルな団体であリ、働く人種も働く場所も、バラバラだ。それだけに意思疎通を深める必要性があった。とくに拠点職員の達成志向の育成、本部と拠点の信頼関係の醸成に期待が持たれていた。
◆取り組み◆ 1泊2日の共通体験からチームに必要な要素を学ぶ
達成志向の育成と信頼関係の醸成を行うために、1泊2日のチームビルディング研修を実施。難易度の高い課題を乗り越える活動のほか支援する側とされる側が寸場を入れ替えるアクテイビティなどを実施した。振リ返りの時間をしっかリと設けて、HFWのこれからのあり方をみんなで話し合った。
◆研修の効果◆ 本当の成果が現れるのは困難にぶつかったとき
みんなで一丸となって本気で向き合うときの充実感。そして課題を乗り越えたときの達成感。このふたつは共有できた。後は、再び各拠点に散ってから、この学びをどう活かせるかが重要だ。おそらく、今回の研修が威力を発揮するのは壁にぶつかったとき。乗り越え方はすでに経験できているはずだ。
世界中の拠点の意識をまとめるために
HFWの海外拠点には現地の職員がいます。国境を越えて拠点が点在するHFWでは、各国職員はメールや電話で連絡を取り合うことがほとんど。離れ離れの職員たちが直接顔を合わせる機会は多くありません。それでも2年に一度はみんなで集まり職場の課題を発掘したり今後について話したりする機会を設けています。
2017年7月には日本で全体ミーティング。事務局長の渡邊清孝さんはその機会を利用して、チームビルディングの1泊2日の研修を実施しました。渡邊さんは研修を実施した背景を次のように語りました。 「ふたつの課題意識がありました。ひとつは各地の職員に達成志向がほしい点、ひとつは本部と拠点の信頼関係を強めたい点です」。
HFWは、活動を力強く推進するための中期方針や長期ビジョンを定めています。そのなかで「日本と海外の拠点の足並みを揃える必要を感じた」と渡邊さん。「海外の職員には”やればできる”という自信を持ってほしかった。また、本部と拠点の信頼関係も強化したかったのです」。
1泊2日のチームビルディング研修では、みんなで協力してゴール地点へ脱出するなど、難易度の高いアクティビティにチャレンジすることで達成志向を学びました。また、マネジメントする本部と汗を流す現場の立場を入れ替えるアクティビティも実施。こちらは10メートルほどの高いポールの上から命綱をつけて本部 の職員がダイブ!命綱は各国の職員がにぎリます。決死の挑戦を支援しようと、職員たちは4カ国語で懸命にコミュニケーション。ポールから飛び降りた本部の職員は「勇気づけることも大切だし、弱さに打ち勝つための具体的支援もより重要」「双方向の関係性の大切さを感じた」などと話しました。
研修後に届いた海外職員からの手紙
一泊の研修の中、夜はじっくりと活動を振り返リ、今後のHFWのあり方を見つめる時間をつくりました。「研修の成果が表れるのは、今後、私たちが大きな壁に直面したときになるでしょう」と振り返る渡邊さん。ほかの参加した職員には「たとえ、確信がなくても挑戦すること」「全部を自分でやろうとしないこと」 「コミュニケーションに責任を持つことが重要」といった気づきがあったようです。
拠点が世界に散らばっていて、働く人種も多種多様。だからこそ、「共通の体験から学べることがたくさんあります」と渡邊さん。研修に確かな手応えを感じています。研修後、研修に現地職員から手紙が届きました。 「”チームビルディングの体験で大切なことに気づくことができました”と、感謝の言葉が書いてありました。手紙をもらって本当に涙が出るくらいうれしかった」。力を合わせて乗り越えていくことの大切さ。渡邊さんが伝えたったことは確かに海外の現地職員に響いていたのです。