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第27回『組織として学び、進化し続けるための行動(理論編)』

2020/02/06

チームビルディング・バイブル

 

組織づくりと人づくりに必要な9つの要素


【 組織を一つにするもの 】
 ●自分たちらしさ
 ●目標、ビジョン、ゴール

【 ベースとなる組織文化 】
 ●心理的安全
 ●多様性と受け入れ合い
 ●主体性

【 組織として学び、進化し続けるための行動 】
 ●失敗や異色な発想を受け入れる
 ●混ざり合いを起こす
 ●行動量やコミュニケーション量を増やす
 ●リフレクションを行う


今回は、「組織として学び、進化していくための行動」についての研究をご紹介します。

 

■ラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)

組織として学び、進化成長し続けていくことを提唱し、広めていったのは、『ラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)』で有名なピーター・センゲです。

「学習する」といっても、個人が知識を増やす勉強しましょう、ということではありません。
チーム全員でデスクに向かってカリカリお勉強しましょう、ということでもありません。

「ラーニング・オーガニゼーション(学習する組織)」とは、「組織として経験から学び、進化し続けるということが、これからの時代、不確実性の高い社会を生き延びていくために必要である」という考え方です。

『ラーニング・オーガニゼーション』の中に、「チームラーニング(チーム学習)」という考え方があります。

「学習」という言葉から誤解されやすいのですが、
学問を学ぶということではなく、チームの実務上の経験から学ぶ「経験学習」と近い考え方です。

テキストをベースにお勉強しましょう、というのではなく、自分たちで話し合い、ダイアログ(対話)を通じて学んでいく、経験から振り返って学んでいく…という意味が込められています。

チーム学習では、多様な視点を持つメンバーが、一人ひとりが先入観を持っていることを自覚しながら、それを保留し、問題の本質をとらえたり、認識や思いを共有して行きます。
これが変化の激しい環境でそこに適応しながら有機的に進化し続けるために必要な学習する組織のひとつの重要な柱となっています。

 

■コルブの経験学習理論

「経験学習理論」とは、4つのサイクルを順々に巡りながら、経験や実体験を学びに変えていくやり方を示したものです。

Step.1
何かの具体的な経験(Concrete Experience)が起こります。

Step.2
実際に経験したことを元にリフレクションをします(Reflective Observation)。
リフレクションとは、起こった経験を振り返って、「どういうことが起こったのか?」「それはどういうことなのか?」「どう解釈するのか?」を考えることです。
リフレクションをすることによって初めて、経験が意味を持ち、次の学びの入り口になります。

Step.3
リフレクションの後は、抽象化、概念化(Abstract Conceptualization)していきます。
実際に経験したことを、「それってどういう意味なんだろうか」と掘り下げて考えるのです。

Step.4
経験からの学びを行動につなげます。能動的実験(Active Experimentation)です。
「こういうことだよね」と概念化されたことを実際にやってみる。やってみると次の実体験(Concrete Experience)が生まれる。実体験に基づいて(Reflective Observation)が・・・というサイクルを回していくのが、コルブの経験学習のサイクルのモデルです。

経験学習理論では、チームで日常で起こっていることをベースに、常に大きなサイクルや小さなサイクルをたくさん回していくことが必要だといわれています。リフレクションの重要性がわかります。

 

■遺伝的アルゴリズム

組織文化についての話の中でお伝えした「遺伝的アルゴリズム」も大きく関連しています。

経験や行動、あるいはコミュニケーションを交わり合わせて進化させていくためには、生物の進化で起こっているのと同じようなことを実際の自分たちの行動の中に織り込んでいく必要があります。

例えば、
・多様な遺伝子を掛け合わせて交じり合いを起こし、特異な遺伝子が生まれさせる。
・突然変異に近いような失敗や異色な発想を
ダメだと切り捨てずに、話し合いの中に織り込んでいく。
・たくさんの世代交代を繰り返していく。

このようなことを意図して自分たちの行動に織り込むことにより、発想や行動が進化していきます。

 

■成果につながるコミュニケーションの3要素

組織論的の分野にも、面白い研究があります。
アレックス・サンディ・ペントランドによる研究です。

この研究では、組織の構成員全員にバッジを付けさせます。そのバッジには、コミュニケーションの「量」や、コミュニケーションをとったときの「状態」をデータとして集める機能があります。バッジを通じて100種類ぐらいのデータが取れるらしいです。すごいですよね。

組織の全員にそのバッジを付けさせて、コミュニケーションを観察した結果、「成果につながるコミュニケーションの3要素」がわかりました。
コミュニケーションの「熱量」、チーム全体への「関与」、外の世界へと向かう「探索」の3つです。
順に見ていきましょう。

①コミュニケーションの「熱量」

この研究では、コミュニケーション量のことを、コミュニケーションの「熱量」と呼んでいます。

「熱量」とは、コミュニケーションの「種類(例:対面、メール、電話)」とその「回数」を掛け合わせたものです。

研究の結果、「対面での回数が多い方がチームのパフォーマンスが高い」ということがデータで明らかになりました。

たくさん話した方がいいというイメージを感覚的にはもっていると思いますが、バッジを付けてデータを取ってみた結果、それが正しいことが明らかになったわけです。

コミュニケーションの量が非常に大事であることを、研究結果が示しています。

②チーム全体への「関与」

単純にたくさんコミュニケーションをとればいいわけではなく、「誰とどうコミュニケーションをとるのか」も重要なポイントです。

成果を挙げているチームでは、1対1の直線的なやり取りでなく、複数のメンバーの間に面で広がっているコミュニケーションが起こっているということがわかりました。

全体的にいろんな人とコミュニケーションをとる、つまり、1対1で話すのではなく、組織内でみんなとたくさんコミュニケーションをとっているのです。

この研究結果は、学び進化し続けていくためには行動量・コミュニケーション量に加えて、他者に関わり掛け、全体が混ざり合っていくていくということの重要性も示しています。

③外の世界へと向かう「探索」

成果を出すチームは、チームの中だけで活動するのではなく、自分の組織の外側の情報をとってきています。

外へ行くということと、中でコミュニケーションをとるということはバランスが難しいところではありますが、成果を出すチームは、内側に目を向けつつ、同時に外に出ていくということをやっているのです。

 

■集団的知性

集団的知性については、アニタ・ウーリーの研究が有名です。この研究によると、集団的知性の高いチームには、3つの共通する要素があるといいます。「社会的感受性の高さ」「発言機会の平等性」「女性比率の高さ」です。1つずつ見ていきましょう。


・社会的感受性の高さ
相手がどう思っているのかを言葉で言わずとも、観察から感じ取ることができるということです。

敏感に相手の状態を感じ取って、関わり掛けていきます。簡単に言うと「人の気持ちがわかる人」が社会的感受性が高い人と言えます。

・発言機会の平等性
立場の上下など関係なくフラットに誰もが平等に発言できる状態のことをいいます。

失敗や異色の発想も受け入れ、「こういうこと言ったらダメかな」「否定されるかな」ということなく、フラットに発言できるということが、発言機会の平等性につながり、集団的知性の高さにつながっているのです。

・女性比率の高さ
女性の方が一般的に社会的感受性が高いので、女性比率の高いチームの方が社会的感受性が高くなり、集団的知性が高くなると推察されています。

集団的知性の研究により、成果が出るかどうかは個人のIQとは関係なく、その組織がどのような状態かによって成果が変わるということがわかっています。



どうしたら組織としてより良い成果が上げられるのか?ということはこれまでたくさん研究や調査がされてきました。ここにご紹介したものもその一部の抜粋にすぎません。それらの中では色々な視点で観察し、データを取って人が共に働く組織の本質を理解しようと努められてきました。
1960年代のコンティンジェンシー理論から近年のティール組織までを貫いて言えること

・技術の発展により今は非常に変化の激しい時代になっている。
・環境の変化が激しいときには機械のように機能を組み合わせて作るそしきよりも、組織全体が生き物のように機能する有機的組織が成果を上げやすい。(機械的組織は環境の変化に弱い)

ということです。

機械のような組織の中で働く人たちは与えられた役割を果たすパーツになるために自分の形を変えます。仕事用の自分を演じ、余計な部分は隠し、足りないところは身につけます。
生き物のような組織ではその中で働く一人ひとりもまた生き物です。一人ひとりが違う個性を持ち、得意なところもダメなところもあります。でもそれも含めたあるがままのその人の全体性こそが生き物のような組織を強くするのです。

一人ひとりが自分らしく、Happyに働いていることが先の読めない変化の激しい時代を生き抜く組織の答えなのです。
そんな組織を育てていこうとしているみなさんを応援しています!




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