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第73回『フィードバックでチームを活かす』

2021年11月11日

上手くフィードバックをしたいけれど上手く伝わらない・・・というお悩みをたくさん聞きます。
今回はフィードバックが伝わる効果的な方法をお話しします。

なぜフィードバックがうまくいかないのでしょうか。

それは、「信頼関係がないから」です。両者の間に信頼関係がないからフィードバックが伝わらないのです。

上手なフィードバックの仕方を磨いたり、相手に伝えるための上手いテクニックを真似しようとしたりするよりも、日常のなかで、日頃から信頼関係を築いていく方がフィードバックは効果的に伝わります。

信頼している人の言葉には、誰しも耳を傾けますが、信頼していない人に対しては身構えてしまいきちんと聴けなくなります。
まず信頼関係を築くことがポイントなのです。

ここで、フィードバックとチームのパフォーマンスの関連についての研究結果をご紹介しましょう。

1)パフォーマンスの低いチーム
2)普通のチーム
3)パフォーマンスの高いチーム

これら3種類のチームでポジティブコメントとネガティブコメントの割合を調べた結果、面白いことが分かりました。

低パフォーマンスチームは、ネガティブコメント「1」に対し、ポジティブコメントは「0.36」という結果でした。つまり、ポジティブコメントの約3倍、ネガティブコメントばかりだったということです。

中程度のパフォーマンスのチームは、ネガティブコメント「1」に対し、ポジティブコメントは「1.9」という結果でした。ポジティブなコメントの方が、ネガティブコメントの倍近く多かったということです。

ハイパフォーマンスチームは、ネガティブコメント「1」に対し、ポジティブコメントはなんと「5.6」という結果でした。つまりネガティブなことばかり言っているチームは、パフォーマンスが低くなり、ポジティブなコメントが多いチームは、パフォーマンスが高くなるという研究結果が出たのです。

フィードバックというと、改善点やダメなところを指摘してあげなくてはならないと考えがちですが、むしろたくさん良ところを伝え、ポジティブなフィードバックをした方がチームのパフォーマンスが上がるのです

言いにくいことをどう伝えるかばかりを考えてしまいがちですが、まずはポジティブなフィードバックを5~6倍伝えるようにしてみましょう。

 

ではここで、フィードバックでありがちな失敗ポイントをいくつか紹介しましょう。

●言葉で良いことを言っていても、非言語で軽蔑が伝わる
言葉で「頑張ったね」と言っているにも関わらず、非言語部分(姿勢、声色など)からネガティブな気持ちが伝わってしまうことがあります。非言語コミュニケーションに気をつけましょう。

●ネガティブなことばかりフィードバックする
言いにくいことや改善点を伝えてあげなければならない、悪いところを教えてあげなければならない・・という意識が働いてしまい、ネガティブなフィードばかりをするケースがあります。これは明らかにパフォーマンスを下げます。ポジティブなフィードバックを積極的に行いましょう。

●相手の話を聞かずに、一方的にフィードバックする
自分から相手に何かを伝えなくてはならないと考えがちですが、相手がどういう気持ちなのかをより理解することにより上手にフィードバックできるようになります。相手の話も聞かずに一方的にフィードバックをするのはやめましょう。

● 言いにくいことをうまく伝えられない
本当は伝えなければならないことがあるのに、相手の反応を気にして何もフィードバックできないということがあります。信頼関係を構築し、言いにくいことも言い合える関係性を築いていきましょう。

●自分の当たり前を押し付ける
失敗してしまう上司は、上司の当たり前に部下を合わせようとします。自分のあたり前で判断する正しいことと、相手のあたり前で判断する正しいことが異なる場合があります。自分の考えを伝えることは大切ですが、相手の考えをまず理解しないと伝わるものも伝わらなくなってしまいます。自分の当たり前を押し付けるのは止めましょう。

フィードバックの失敗に関連して、もう一つ研究結果をご紹介しましょう。
ジョン・ゴッドマンによる「人間関係を壊す4つの要素」の研究です。
「批判」「自己防衛」「軽蔑」「逃避」これらの要素は、フィードバックも失敗させます。

「人間関係を壊す4つの要素」

1)批判:すべて相手のせいにして、相手を批判する。
2)自己防衛:自分は悪くないという主張を繰り返す。自分の正当性ばかり主張する。
3)軽蔑:相手を見下した態度で接する。
4)逃避:相手を拒絶し、壁をつくる。コミュニケーションを避ける。

これらの要素はフィードバックの場面で知らず知らずのうちに使ってしまっていがちです。
特に、上司から部下へのコミュニケーションで多いのが「軽蔑」。相手を見下した態度で接することです。立場が上なので、相手を下に見て決めつけるような言い方をすることが起こりやすいですが、「人間関係を壊す4つの要素」のなかでもこの「軽蔑」が一番悪影響が大きいと言われています。

日常のコミュニケーションのなかで「批判」「自己防衛」「軽蔑」「逃避」をしていませんか。この機会に自分の態度、関わり方を振り返ってみてください。

一方で、上手いフィードバックをしている人たちは何をしているのかをご紹介しましょう。

●称賛は非言語でも伝える
相手に対するポジティブな気持ち、称賛などは言葉だけでなく非言語でも伝わります。
相手に対して笑顔で接することは相手に対するポジティブフィードバックとして有効です。

●フィードバックしながらも相手の声を聴く
相手がどう考えたのか、どうしてそう考えたのかを理解しながらフィードバックを重ねていきます。

●フィードバックは相手を否定することではない
フィードバックはネガティブなことを伝える場なのだと考えて相手を否定しがちですが、ポジティブフィードバックを活用しましょう。

●サンドイッチフィードバックの使い方が上手
ポジティブなフィードバックをして、言いにくいネガティブなフィードバックをし、最後にまたポジティブなフィードバックで終わる。これが改善点も相手が受け取りやすいようにする型です。ポジティブでネガティブをうまく挟みましょう。

●存在そのものを肯定しながら相手のためにフィードバックする
フィードバックは存在否定になりがちですが、そんな必要は全くありません。相手の存在そのものを肯定していいのです。ただ、相手が改善することによって良くなることを指摘することは必要です。これが相手のためにフィードバックしていくということです。

●フィードバックは上司の当たり前に部下を合わせるために行うのではない
フィードバックは異なる観点を部下に見せるために行うものです。相手が違いから学ぶためにフィードバックするのですから、フィードバックが上手い上司は、自分の当たり前を部下に押し付けるようなことは決してしません。そもそも上司の当たり前が正解とは限りませんし、学びも起きにくくなります。自分の当たり前を押し付けるのはやめましょう。

●相手を理解すると、伝え方が分かる。理解するために聞く。
相手を理解すると伝え方が分かります。相手を理解するためには聞くことが大事です。逆に、相手を理解しないと伝え方も分かりません。まずは相手を理解しようと努めましょう。

●日頃の信頼関係の蓄積が一番大事。小手先のテクニックじゃない。
日常の信頼関係ができてさえいれば、小手先のテクニックは要らなくなり、相手も話を聞きにきてくれます。まずは信頼関係を築くことから始めましょう。

●とにかく相手に「分かってもらえている」と感じてもらうこと。
とにかく相手に「理解してもらえている」と感じてもらいましょう。そうして始めて相手は心を開き、耳を傾けてくれます。相手の主張に同意する必要はありません。伝えている内容を分かっていると相手が感じさえすれば、相手は聞く耳をもってくれます。

 

まずは信頼が一番大切です。
信頼している人の言葉には耳を傾けるますが、信頼していない人の言葉には身構えます。

・職場でもプライベートの話をしましょう。職場ではプライベートの話をしない人も多いようですが、プライベートの話をすることは信頼関係を築くのに有効です。

・日頃からポジティブコメントを伝え続けましょう。上司が自分ことを理解してくれている、認めてくれていると感じると信頼関係につながります。

・日頃から感謝を伝えましょう。相手が自分に対し感謝してくれていると感じると信頼が育まれます。

・日頃から相手の話をよく聞きましょう。よく聴いてくれてると感じると、「この人は自分のことを分かってくれている」と感じられ、相手の話をよく聴くことは信頼関係を築くことに役立ちます。

これらは信頼関係を築くために今日からすぐに実践できることです。小さなことからぜひ始めてみましょう。

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