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第66回『インセンティブとモチベーション』

2010年02月04日

チームづくりレシピ

組織変革を進めるためには「言われたからやる」「仕事だからやる」「お金がもらえるからやる」といった外から与えられた動機で動く人材では実現できません。「仕事そのものにやりがいを感じる」「仕事を通じて自分のやりたいことが実現できる」「仕事から学ぶものがたくさんある」といった、主体的な動機で動く人材が組織を活き活きと発展させてゆきます。
ところが、ここで難しいのは外からの動機付けはインセンティブ(報奨)などの仕組みで行う事が出来ますが、個人個人の主体的な動機、モチベーションを外部から上げてゆくのはそう簡単ではありません。

主体的な動機をどのようにして高めてゆくのかを考える際に、インセンティブの手法を参考にすると分かりやすいでしょう。たとえば、インセンティブでよくつかわれる現金による報奨と、表彰式を比べた場合、それを受ける人の欲求とのバランスにもよりますが、多くの場合に表彰式の方がインセンティブ効果が高くなります。現金5万円を200人に渡すのも、参加者200人で1千万円かけた表彰式をするのもどちらもかかるコストは一緒ですが、その効果は大きく違います。(厳密にはその人の他の欲求がどれだけ満たされているのかにもよります。また、実際には現金も含めた複数のインセンティブを複合的に使います。)

なぜ表彰式の方が効果が高くなるのかといえば、現金では出せない付加価値が付くからです。表彰されるという実際の体験を伴い、そこに物語が生まれます。そしてその体験の意味は「自分がまわりから認められている」という社会的欲求を満たすということなのです。

このように、同じコストをかけてもその内容によって生まれる動機付けの意味は大きく変わってきます。行動の動機は人間の欲求から生まれますが、人間の欲求は大きく分けて2種類あります。一つは不満を満たす欲求。もう一つは満足を生み出す欲求です。これらの欲求はまったく別のもで、不満を満たすことは満足を生み出すこととは異なるのです。
現金と表彰の例ですと、現金は不満を満たすもの、表彰は満足を生み出すものに近くなっています。このために上記のような効果の違いが出て来ます。(逆に、経済的安全が確保されていない人ほどこの不満を満たす欲求の価値が高くなってきます。)

主体的な動機で動く人は不満を満たす欲求よりも満足を生み出す欲求によって動いています。このような人材は単純に教育すれば育つとか、職場環境を改善すればあつまるというわけではありません。複合的な取り組みによって時間をかけて集め育てなければなりません。仕事を通じて、自分のやりたいことを実現したいという人材を育てるには、まず仕事の場の環境、キチンと育成できるマネージャーなどが欠かせません。全社での意識共有の取り組みやベクトル合わせ、対話を通じて自分たちの組織についてしっかりと考え、理解と共感を深める機会など多角的な取り組みによって会社の文化が洗練され、組織を自分のものとして、率先的に変革を進めてゆく人材が育ってゆきます。

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