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第95回『チームビルディングは楽じゃない(3)フラット型組織とピラミッド型組織』

2018年11月15日

チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、
代表河村がチームビルディングを切り口に
さまざまなテーマでいろいろな人と話し合った様子をお届けしています。
 
◇今回の対談のお相手は・・・
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飯島 邦子 氏 (組織開発ファシリテーター プロセスデザインコンサルタント)

元IT系。システム構築プロジェクトのマネジメント経験で、やっぱり人だと気づいて方向転換。ファシリテーションと出会う。2011年独立、PROCESS Laboratory主宰。ファシリテーションを軸にNPO支援や中小企業の組織活性化や研修事業をしつつ、持続可能な開発のための教育(ESD)を推進するコーディネーター育成プロジェクトに関わる。2016年からは㈱ジョイワークスにも参画し、現在は、個人事業・企業活動・NPO活動という3つの器を通して、人と組織、そして社会の持続可能性の探求を軸に活動中。
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河村 甚(写真右、以下じん)

前回、「ピラミッド型の組織のうまくいかないところを機能させるには、どうしたらよいか」という話が出ましたが、
これは、ピラミッド型の中にフラット型の要素を取り込んでいくことで、様々な欠点を排除することができます。

飯島 邦子さん(写真左、以下くに)
課長の下はフラットにするとか、そういうことですね。

じん
最小組織単位ごとにフラットなコミュニケーションがとれるようにしていくとか、
全体にフラットな場にするとか、いろんなフラット部分とピラミッド部分を
うまく使い分けてやっていくのが有効だと思う。

ピラミッド型の組織では、話が上から順番に下りてくる場合も、下から上げていく場合も、
きちんと伝達してもらうために、完璧なドキュメントの完成品を作って、それを回していく。

完璧な設計図を作って、回して、これだからやります、ということを伝えるということが起こっている。

くに
その進め方が有効なケースももちろんあると思いますが・・・
なんか、創造性はない感じですね(笑)。

じん
ピラミッド構造だとそうやらざるを得ない。

そうでないと、トップの人が判断できないから。
だから、この内容で大丈夫だよね、というのを順に回す。

でも、トップも含めて誰も正解を知らないことをやらなくてはならない時には、
それではうまくいかない。
全部フラットにしなくてはならない。

くに
わからないことがあるということをリーダーの方から開示して、
自分もわからないから、みんなにフラットに聞きたい、という場を
リーダーが作っていかなきゃいけないよね。

じん
上の人が「部下がわからないことを教えるために上司がいる」と考えていると、間違ってしまう。

もちろん知っているなら教えられるけど、
全部が全部そうではないし、自分が知らないから教えてもらうこともある。

経験上知っていることが役に立つ場合には、ピラミッド構造でいい。
「それやったら絶対失敗するから止めた方がいい」ということも言えるし、
許容できる範囲内の失敗なら、失敗を経験してもらうのもあるかもしれないし。

圧倒的な経験が有利に働く場合は、ピラミッド構造がうまくいく。
でもそうでないケースが多い。

くに
多いですね・・・。
上が「自分はわかってる」って決めてしまってることもありますしね。

じん
ピラミッド型の組織だとしても、
フラット型構造を臨機応変にパッパッっと切り替えながら使っていかないと。
昔とは環境が変わってきて、フラット型が求められていることがすごく多いからね。

くに
最近、その必要性はわかってくれている上の人は増えている気がしますが、
その上で「必要だけどどうしたらいいの?」という悩みを多く聴きます。

じん
やろうとすると難しいんだよね。

上の人も、意識は持っている。
こういう風に組織を良くしたい、変えていきたい、フラットにコミュニケーションしていきたい・・・って言うんだけど、実際やるとうまくいかない。

くに
まさにその人たちと一緒に悩んでいくのが、今のわたしの仕事かな。

 

フラット型組織とピラミッド型組織を使い分ける

じん
ピラミッド型とフラット型を同時に並列させるってことが大事。

並列させる上で、重要なポイントとなるのは、
ピラミッド型はどうしてもリーダー依存になってしまうのを、瞬時に排除することが
できるかどうか。
リーダーはフラット型とピラミッド型を使い分ける必要がある。

くに
有機的な場が作れるとするじゃないですか。でも、そこに偉い人がいると、
話し合いの場を安全なものにするのは難しく、そこが課題になることも多い。
そのときに必要となるのがファシリテーションだと思っています。

なので、リーダー自身のふりかえりと対話によるファシリテーションの重要性をお伝えしています。

じん
トップが「フラットにやろう」と言ってても、
実際には結構コントロールしようとしてる・・・ということがよく起こってる。

トップが、「俺はフラットにやりたいんだよ」と口では言ってる。
でもフラットなはずの場で、トップ自ら「いやお前、それは違うんじゃない?!」と否定して、周りが発言できなくしてしまう。

くに
それを一度やったら、次はもう発言しなくなっちゃいますからね・・・。

じん
フラットな場でピラミッドパワーを使ってしまうと、
下の人たちは「間違ったことを言ってはいけないんだ」と思って、
フラットな場が瞬時にピラミッドに変わってしまう。

 

リーダーがマインドを変える

じん
あと、ヒエラルキーの強いピラミッド型の上の方にいる人って、
かっこつけるんだよね。
自分は完璧。部下にかっこ悪いところは見せられない・・・っていうケースが結構ある。
なぜか常に「お前等まだまだだな」って視点に立ちたがる。
変なプライドを守ってて、失敗するとごまかしたりね。

でも、言い訳を先にしてからやるとか、ごまかすことをしちゃうと、ダメ。
リーダーだって間違えてもいい、というスタンスで、
内なる強さを持って、上の人は挑まないと。

くに
じんさんはどういうステップでそのように考えられるようになったんですか?
マインドチェンジできるまでの障害とかなかったんですか?

じん
この仕事の良いところだと思うんだけど、
よその組織を客観的に見れるじゃないですか。

よその組織で困ってるところを見ながら、この組織はなんで困ってるんだろう、
何が起こってるんだろう、ということを客観的に捉えることができる。

自分の組織って客観的に見えにくいじゃないですか。
だけど、この仕事に携わっているおかげで、よその組織を客観的に見た上で、
はて自分の組織は・・・と置き換えて考えることができる。
だからリーダーとしてのマインドチェンジができたんだと思う。

くに
「あぁ、自分失敗しちゃったな」っていうのを安心して振り返って、
そうだったね~っていうのを受け止めあえるようなチームになっていると、
リーダーも自身の失敗を受け入れやすくなる。

リーダーも最初からうまいことファシリタティブリーダーなんてできないじゃないですか。
理想かもしれませんが、「リーダーをメンバーが育てる」という側面もあると思います。

リーダーがごまかしちゃうこともあるかもしれないけれど、
そこをほぐしてあげるようなチームが理想かなって思います。

じん
なるほど。つまり、「リーダー、お前変われよ!」じゃなくて、
組織のメンバーの側から始まる、ってことだね。

上からでも下からでも、どちらからも始められるよね。

リーダーが変わってくれないとチームが変わらない、でもなくて
リーダーも「うちのメンバーがもっと良くなってくれるんじゃないかな」と待ってるのでもなくて。
両方できるよね。

くに
組織である以上は、ピラミッド型であることも自然。
ずっと生命体のようなフラット型でいるのは難しい。
スイッチを切り替えて自由に行き来することができるようになると良いと思います。

まずはこのような考え方、捉え方があるのだということを
みんなに知ってもらったり、実感してもらったりするのが必要だと思って
私は活動しています。

じん
そうだね。
でも、行き来することは大変だけどできると思ってるし、
自分の周りには、実際にやってる人もいる。

こういう環境のとき、こういう課題のときには
ピラミッド型組織構造のコミュニケーションが向いている、
こういうときはフラット型組織構造のコミュニケーションが向いている、
・・・というのは明確に分けて説明できる。

「今やっている課題は、これだよね」とデジタルに判断して、
「だったら今はこっちのコミュニケーションをとった方がいいね」
「今日のこの会議はこうだからフラットだよね」とか変えられる。

 

チームビルディングジャパンのコミュニケーション

くに
チームビルディングジャパンでも
ヒエラルキー的なピラミッド型コミュニケーションとるときはあるの?

じん
基本的に俺はピラミッド型は嫌だと思ってるから、ほとんど無いね。

例えば、
給与を決めるのが社長なら、みんな社長の言うこと聞かざるを得なくなる。
以前は、社長と給料を交渉して決める、ってことをやってたから、
どうしてもピラミッド構造になるっていうのが昔はあった。
でも今は、自分の給与を自分たちで決めるように変えたので、そうではなくなった。

部分的にあるとしたら、
チームビルディングの現場をやっている場数は、自分が多いから、
お客さんのところへ説明に行くときにどうしたらいいか、というような相談は
やっぱり自分のところに来るかな。

ピラミッド構造がうまくいくケースとして、
圧倒的な知識、経験がある人とそうでない人がいるときに、
できるだけ効率よくコピーしていくとか、エラーを正していくとかは
ピラミッドの方がうまくいくからね。

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