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第26回『結論の出ない話し合いをする』

2012年05月24日

チームビルディング・ノート

貴重な時間を使って結論の出ない話し合いをする事には抵抗感を感じるかもしれません。しかし、どんな話し合いでも何かの結論を付ければ良い結果が得られるという事は無く、話し合いの目的によっては結論を出そうとする事で目的から遠ざかってしまうという場合もあります。今回は「結論の出ない話し合い」の効用について考えてみましょう。

日常的な仕事の場で行われる会議、打合せ、研修の場などでは殆どの場合結論を出す事が求められます。その結論がつまりその話し合いの時間を使って生み出した価値とされ、何も価値を生み出さないものにコストをかけないのが通常です。そんな事情で結論の出ない話し合いはなかなかその存在価値を認められません。結論が出なければ上司に報告もできず、仕事の成果を出せない能力の低い人と評価されてしまうかもしれません。
しかし、この「何か結果を出さなければ!」という束縛で実は話し合いの時間を無駄に使ってしまう事も多いのです。例えば、色々な場面で日常的に行われているブレインストーミング。これは結論を出そうとするとうまく行きません。
良く見るパターンとしてはアイデアを各自付箋に書き出して、それを出し合ってグルーピングして、具体的なアイデアも抽象化して整理してしまい、その整理された物を結果とするといった型があります。なんとなく整理されると結論が出たかのように見え、価値のある仕事をしたかのように感じてしまいます。ブレインストーミングを起こすためにはより自由に話を広げる必要があります。整理するのではなく、お互いの話に便乗し合って、誰も個人で意見を所有しません。そして整理して不要なものを自分たちの判断で消すという事もしません。自然環境で生物が進化し、また淘汰されていくように、ブレインストーミングの中では多様なアイデアが交配しあい、その場の中でより適した進化をしたアイデアが生き残り、不要なアイデアは淘汰されます。出てきたアイデアをその場で人間の判断で生かしたり殺したりすると、突然変異で生まれた良いアイデアの遺伝子が残らなくなってしまいます。ですからなるべく自由で自然な環境を作ります。

ブレインストーミングは結論を人間の頭で考えて出そうとしない事により、良い結論が生まれるものです。そうではなくてそもそも結論を出さない話し合いもあります。例えば、認識共有のための対話などがそうです。組織の中には多様な人たちが集まっています。そしてこのメンバー内の認識共有レベルがその組織の活動の結果に大きく影響してきます。非常に重要ですが、それ自体が何かのアウトプットを出さない形での認識共有の話は軽視されてしまいがちです。成果をまとめる形での認識共有もありますが、そうではないオープンなものも大切にしないと、共有の無いままに結論を急いだり十分に思考を広げないままに収束だけさせてしまったりという結果になってしまいます。
たとえば、「うちの会社についてみんなどう思う?」といった話をするときに「私たちはうちの会社をこう思っています」という結果をプレゼンする目的で話をしてもどう思っているかの共有は進みません。全体として思いの熱いところはどこか?といった事を意識しながら問いかけて行きます。「最近社内でどんな良いことがあった?」「うちの会社らしい人って言うと誰かな?」といった問いの方向付けをメンバーに合わせて行います。

その場で結論を出さないことを恐れず、そして少し広い視野で見て本当に価値のある話し合いを大切にして行きましょう。

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