第63回『創業19周年を迎えたTBJ河村甚に聞く!「チームビルディングの真髄」とは?』
2025年08月13日
TBJ(Team Building Japan)が創業19周年を迎えるにあたり、代表のじんさんにスペシャルインタビューを敢行。これまで探求し続けてきたチームビルディングの真髄、そして未来への熱い想いを伺いました。
「真似されるのが嬉しい」の真意とは
すみえ: 創業19周年おめでとうございます!まずは、創業から現在に至るまでにチームビルディングに対する考え方に変化はありましたか?
じん: ありがとうございます!創業当時から根幹にある「チームビルディングの素晴らしさを広めたい」という想いは変わらずありますね。ただ、その伝え方やアプローチは時代と共に進化してきました。昔は「こんなに素晴らしいものがあるのに、みんな知らないのはもったいな」という想いが強かったですね。
すみえ: じんさんの講座や記事などは、多くの企業やファシリテーターに影響を与えてきました。TBJのプログラムが真似されることに対して、不安はありませんか?
じん: 不安より、嬉しい気持ちです。むしろ、どんどん真似してほしい、パクってほしいと思っています。我々がこれまで探求してきたチームビルディングのアクティビティや、「つながりこそがチームの知性」という考え方を、汎用的な知として社会に残していきたいという想いが、年々強くなっていますね。

すみえ: じんさんらしい考え方ですね。でもビジネス的には、競合が増えてしまう懸念もあるかと思いますが。
じん: もちろんビジネスとして成立させる必要はあります。ただ、みんなが使えるようになることこそが、我々にとってのビジネスになるんじゃないかと考えています。ファシリテーターがその場で起こった「生もの」の出来事や感情を扱って、対話を深めていく。そのプロセスを、特別なスキルではなく、誰もが身につけられる当たり前のものにできたらすばらしい。特に管理職の方々が使えるようになれば、幸せな会社がもっと増えると思うんです。我々がやっていることを「特別なこと」ではなくしたいんです。
「鬼上司」からの脱却、新たな選択肢の提示
すみえ: 今でも「鬼上司」の方がいい、という考えを持つ方も少なくないですよね。
じん: そうなんですよね。どうしても、圧でコントロールしようとする人がまだまだ多い。もちろん、それで機能する世界や社会もあります。でも、今の社会はそれでは立ち行かなくなってきている。そうではない別の選択肢があることを多くの人に知ってほしいんです。
すみえ: 「鬼上司」の経験しかしてこなかった方は、他のやり方を知らない、ということ?
じん: まさにその通りです。「キレる上司は嫌だ」「圧でコントロールするのは嫌だ」と思っていても、強いヒエラルキーによる圧でコントロールせずに、一人ひとりを尊重する組織運営を選択しようとしても、「それじゃただのぬるい組織じゃない?」としか理解できない人たちも多い。ティール組織でいうレッドやオレンジの組織から抜け出したときに、一見「ぬるい」組織に見えてしまう。そうではなく、一人ひとりの「らしさ」をチームとして発揮したときの力、本質的なつながりの力を伝え広めていきたいと思っています。
コロナ禍を経て進化したTBJの研修
すみえ: コロナ禍では、対面でのアクティビティが難しくなりました。TBJにとっては大きな危機でしたね…。
じん: 大変でしたね。お互いを身体的にも支え合うような接触を伴うアクティビティ、向き合っての密な対話が中心だったので、対面研修が一切できなくなりました。ただ、この危機が我々のやり方を大きく進化させてくれたんです。
すみえ: じんさんにとって、どのような進化を感じてますか?
じん: これまでは、アクティビティを「体感」してもらい、経験からリフレクション(振り返り)を通じて学んでもらうことを重視していました。しかしオンラインではそれが難しい。そこで、なぜそのアクティビティが有効なのか、理屈の部分を丁寧に言語化して伝えるようになりました。結果的に、体感と理屈、両方から学ぶことができる、より奥深い研修へと進化できたと思っています。
創業の原点から見えてきた「真実」
すみえ: 創業の原点には、元々どのような想いがありましたか?
じん: 当時は、チームビルディングやファシリテーションという素晴らしいものがあるのに、なぜみんな知らないんだろう、という想いが強かったです。それと同時に、先生が一方的に教える「偉そうな」学び方に違和感がありました。
すみえ: 確かに、私たちの頃の(昭和な)学校教育はそうでしたね。
じん: そうなんです。「正解を学ぶ」のではなく、自分たちが経験したことから学びを探っていく。体験と対話を通じて、チームで学んでいく「学習する組織」というアプローチに、当時はまだ少なかったですが、共感してくれる人たちがいました。その方々のおかげで、今日まで続けてこられたんだと思います。
すみえ: 19年の探求の中で、確信に変わったことはありますか?
じん: 創業当時は、何が本質なのか、何が正解なのか、暗中模索でした。とにかくチーム研修の現場を数多くこなし、過去の研究も広く深く探求してきました。その経験と研究を重ねていくうちに、ある一つの絵が見えてきたんです。それは、「人に伝えていけるだけの本質」だと確信できるものでした。
すみえ: 最後に、今後の展望をお聞かせください。
じん: 今後も、探求し続ける姿勢は変わりません。そして、その知を事業の軸にして、社会全体がハッピーになる、そこから多くのものが得られる社会を創っていきたいと信じています。
すみえ: これからもますます楽しみにしてます!