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第83回『リーダーとマネージャー』

2010年09月30日

チームづくりレシピ

組織を語る上でリーダーやマネージャーについては避けて通れない課題です。多くの場合に、実績が認められたり、年功序列によってリーダーやマネージャーは選ばれて行きます。単なる役職としてのリーダーやマネージャーもあり、その言葉の定義も様々です。
組織作りの観点から見ると、リーダー/マネージャーは肩書きや役職などとは一切関係なく、組織に必要な2つの機能として見る事ができます。

組織に必要なリーダーとマネージャーの機能とは
● 旗を振り、進むべき道を示すリーダー。多様なものをひとつにする機能。
● 一人一人のメンバーが最高のパフォーマンスを発揮できるよう支援するマネージャー。ひとつの事実を多様に適応させる機能。

組織に必要なリーダーの機能は組織全体がどちらへ進むのかを明確に示す事です。そのためには全員が共感、共有できるメッセージを発信したり、ビジョンを示して自分たちがあるべき未来の姿を共有したりといった事を行います。個性も能力も様々な個人が集まった多様性溢れる組織のメンバーが立ち返り、共有できる軸を示すのです。
多様なベクトルをひとつのベクトルに変える機能を果たします。

組織に必要なマネージャーの機能は一人一人のメンバーが組織の中で必要とされる存在にして行く事です。一人一人の能力を見極め、彼等の能力を最大化します。組織全体が向かう方向の中で、一人一人のメンバーの役割や彼等の成長などについて関心を持ち、支援します。リーダーの機能とは正反対に普遍的なものを具体化し、一人一人に伝わるように伝えます。全員に同じ事を同じように伝えたり、同じコミュニケーションをとるようではマネージャーの機能を果たしません。「この人には詳細まで指示を出すよりは、本人に考えさせた方が良いパフォーマンスを発揮する」だとか「この人は人間関係には強い興味をもっているから、人間の話をするとやる気スイッチが入る」といったように、一人一人に伝わる伝え方をします。
ひとつのベクトルを細かく多様なベクトルに変える機能を果たします。

このようにリーダーの機能、マネージャーの機能は正反対の働きをします。ところが、実際の組織を見てみるとこの2つの正反対の機能を1人の人間が負わなければならないケースが多くあります。そんな時に2つの機能のうち、どちらが正しいのかということに悩んでしまいます。しかし、実際はどちらが正しいというわけではなく、2つの機能が必要だという事なのです。
この解決策としてはまずこれが2つの別々の機能であり、どちらの機能も組織にとって必要なものであることを認識する事です。その上で割り切って2つの役割を使い分けたり、適切なメンバーにその機能の一部を移管したりといった対処が可能です。
2つの役割を1人で負うにしても、「今はこちらの役割で行動している」と認識して切り分けができれば、「どちらが正しいのか?」といった事からの悩みは軽減されることでしょう。

また、リーダーの機能とマネージャーの機能は相反する機能であるものの、お互いに補完関係にあり、どちらか一方だけでは存在し得ません。リーダーが発するシンプルで普遍的なメッセージはマネージャーのフィルターを通して一人一人に伝わるように具体化されるべきですし、個人個人と組織との関係作りがあるからこそ、全体をまとめあげるひとつのベクトルを生み出す事ができます。リーダーが発するひとつの軸が無ければマネージャーは一人一人に迎合するだけの存在になってしまいます。

2つの機能を分けて理解するだけでも組織作りを一歩前進させる事ができるでしょう。

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