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第37回『未知の課題に取り組むアプローチ(2) 未知の世界に適応して進化する方法』

2020年06月25日

前回は、コロナ危機における未来を示すピラミッド型のリーダーシップについてお話ししました。今回は、未知の課題をどのようにして解決していくのかということについてお伝えします。

誰も答えを知らない複雑な未知の課題を解決するためには、どうしたらベストな選択をし、より最適な方法を見つけることができるのでしょうか。

例えば、「世界中の都市をどういうルートでまわったら一番早く回れるか」という複雑な課題があったとしましょう。このような複雑な課題の最適解をコンピューターで導き出す際に用いられている方法に「遺伝的アルゴリズム」があります。これは、生物の進化を模した方法です。コンピューターは高速であらゆるすべてのパターンを計算していくことが得意なイメージがありますが、遺伝的アルゴリズムを用いるとそれ以上に早く最適解を導くことが出来るそうです。

生物が環境に適応して進化し最適な個体が残っていくというプロセスは、コンピューターの計算だけでなく、私たちの日常の様々な選択や、複雑な課題の解決にも応用することができます。

複雑な課題の答えを出す方法には、以下のような要素があります。

 

  • 異なる遺伝子を混ぜ合わせる
  • 突然変異を起こす
  • たくさん世代交代する
  • 自然淘汰を起こす

 

1つずつ説明していきましょう。

 

異なる遺伝子を混ぜ合わせる

ピラミッド型で起こりがちな、役職が上の人が示すたった一つの正解に全員が従う形では遺伝子の掛け合わせは起こりません。答えが分からない時には多様な視点を取り入れ、掛け合わせる。それによって生まれる新たな視点やアイデアをまた掛け合わせる。といったことを起こします。
人が一緒に仕事をする場では、異なる視点、価値観には腹が立つことも多いと思いますが、腹を立てている場合ではありません。もちろん近い価値観の方が混ざり合いやすいですが、全く理解できないくらいの異なるものも新たな進化のタネになるかもしれません。

 

突然変異を起こす

人間がその行動や考え方、アイデアなどを進化させていく時にも特に重要です。突然変異は、それまで正しくコピーされてきた遺伝子が、間違ってエラーを起こし、正しくないコピーが生まれることです。仕事の中ではそれは間違いとされ、否定されたり、非難されたりすることも多いと思いますが、ちょっとした間違いから次の新たな進化が生まれます。この間違いを許容する文化が突然変異を促進します。
あまり多いとそれも困りますが、一定程度許容する懐の深さが必要です。

 

たくさん世代交代をする

古い個体が死んで、次の世代の個体が生まれる。その世代交代が多いほど進化スピードは速まります。当たり前ですが、古くて新しい環境に合っていないものに固執していては進化は起こりません。
これは「古いものはすべて捨てて新しくどんどん上書きしてしまえ」という事ではなく、環境に適応して行くために新たな世代に交代してゆくという意味です。古くても良いものは新たな世代へと受け継がれ、残っていくでしょう。

 

自然淘汰を起こす

自然淘汰とは、「より環境に適応したものが生き残り、そうでないものは淘汰され、次の世代には残っていけない」ということです。会議で出てきたアイデアや突飛な案を反対意見や正論でつぶすことは、自然淘汰ではありません。我々人間の頭はつい「悪いものを消していこう」と考えてしまいがちですが、悪いものを消すのではなく良いものを残すという発想にしてみましょう。
悪いものを見つけて切り捨てるのではなく、放っておきます。話し合いが進化していくと、良いアイデアがどんどん進化し、話題の中心になってきます。そして自然と良いものが残っていくのです。
「そんなアイデアだめだ」とつぶされてしまうようなくだらないアイデアの中に次の進化のタネが眠っています。忘れたころに新たなアイデアと掛け合わさって進化を遂げるかもしれません。良いものを次のトライアンドエラーに持っていくだけで、悪いものをわざわざ選ばなくても良いものだけが残っていくのです。
これをたくさん繰り返していくことで、次の世代、次の世代と世代交代が繰り返されていくことで、より最適な答えに近づいていきます。制約の中ではすべてが生き残っていく事はありません。環境に適応できないものは無理して切り捨てようとしなくとも自然に淘汰されます。

 

私たちが「フラット型組織」と呼ぶ組織は「有機的組織」とも言われます。有機的組織とはつまり生き物のような組織。生物の進化を模したこの方法は有機的組織の特徴の一つといえます。これによってひとりの力では解決が出来ないような複雑な課題をチームで解決していけるようになります。

たとえ組織構造がピラミッド型だとしても、この生物の進化を模した有機的な課題解決の方法は真似することができます。今まさに世界が未知で複雑な課題に直面しています。まずは真似して試してみることをお勧めします。そして、多くの人たちがチームの力で新しい道筋を見つけていくことを願っています。

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