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第69回『ゲームで研修(4)チームって何人?人の関係性と人数』

2017年11月16日

チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、代表河村がチームビルディングを切り口にさまざまなテーマでいろいろな人と話し合った様子をお届けしています。

今回の『ゲームで研修』は、
株式会社HEART QUAKE(ハートクエイク)代表である千葉 順さん
をお招きしての対談です。
http://heart-quake.com/ceo.html

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目次

 

 

 

心理的安全性

河村 甚(写真、以下じん)
機能するチームについてグーグルが調べた「プロジェクトアリストテレス」という取り組みがあります。

どういうチームが一番成果を上げるのか、優れているのかを調べた結果、
リーダーシップのスタイルなどには何も共通点がなく、ばらばらだった。

唯一共通点が見えたのが、「心理的安全性」。
心理的安全性があるチームはうまくいっていた。

心理的安全性というが、それを作ろうとするとなかなか難しい。
でも、心理的安全性がある状態を作る必要があることは、
調査結果が示しているだけでなく、みんな内心うすうす感じてる。
組織のなかの関係性を大事にした方がいいということはわかっている。
実際に集まって顔を合わせてやることや、そこで起こるコミュニケーションに価値を感じている。

でも実際は、つながりが希薄になっていることの不安から
チームビルディングが求められてきているのかな、とも思うね。

千葉 順さん(以下ちばじゅん)
もしかしたら、いろいろなものが分断されつつあるから不安を感じているのかも知れませんね。

業務は分断化され、家族も分断されてますよね。
独身世帯が多いですし、三世帯で住む家庭も多くない。
一緒に住んでいても、見てるテレビが違う。
オンラインでユーチューブを見ている人もいる。
同じ時間に同じテレビを見ている可能性は低いと思われます。

多様性とか個別最適と言いますが、
実は分断されてるのをくっつけたいと思っているのかもしれないですね。

分断とつながり

ちばじゅん
SNSなどが発展してきて、むしろワークショップなどのリアルなイベントが昔より増えた気がしているんですよ。
オンラインが充分発達してきたから、今度はみんな実際に集まって何かしたりする。
これだけネットで何でも出来るのに、わざわざ集まって何かをしたいって、逆説的ですよね。

じん
ネットでつながりやすくなったことの影響は大きいよね。

昔は村の近くにいる人だけでコミュニティが構成されていたように、物理的な距離によってつながりが出来ていた。

でも今は、ネット上で自分の「やりたいこと」でつながることができる。
例えばインドカレーを好きな人だけとか、中国茶が好きな人だけとか、ニッチな共通点で集まることができちゃう。

そして、実際に集まることによってできることを、会ってやる。

集まるキッカケはネット上だけど、やっぱりリアルな場でやりたいことがある、ということかもしれないね。

ちばじゅん
街コンとか、フェスとかも流行ってますよね。
集まって共通体験をするのは人間にとって楽しいことなんでしょうね

じん
コミュニティの確認、というかアイデンティティの確認、プラス祭り要素かな。

コミュニティのリアルな関係性の中にあると、自分はこれでいいんだ、とか
自分は今のままでいていいんだ、とか確認できるところがあるよね。

ちばじゅん
だから、弱いネットワークの方が今の人たちには好まれている傾向がありますよね。

近所付き合いは面倒で避けるけど、結婚式とかもやらないけど、
合コンはやります、みたいな。(笑)

じん
近所付き合いは、離れれないからね。

弱く緩いつながり

じん
昔は固いつながりの中で助け合うコミュニティみたいなのがあったけど、
今は弱いつながりがわーっと広くあって、
必要なタイミングで必要なところがつながればそれでいい、
という形になってきているかもしれないね。

ちばじゅん
会社は家族的なものからプロジェクト的なものになり、
ネットワークの弱さと自由を求めている感じになっていますよね。

じん
自由だし、一人ひとりが自分らしくあれるんだよね。

ちばじゅん
一人ひとりが自由であることは、分断されることにも近い。

だから、ネットワークをある程度作っておく、分断されたものを修復する、
ということが必要なのかも知れませんね。

じん
たしかに。
分断されて個別化が進んでる。だからこそつながりたい。
しかも、つながりたい人と、つながりたいときにだけつながれるという選択が簡単にできるようになった

ちばじゅん
そうですね。
昔に比べると、「めったに会わないけどたまに会う友だち」というのが増えてきた気がしますね。
仲はいいけど年に2回くらいしか会わない友だちというのが増えてきた。

じん
緩くつながることが簡単だから、
SNSは誕生日になれば知らせてくれるし、
誕生日メッセージくらいは送っておこうか、みたいな。
それで何年か続くことができたり。

ちばじゅん
誕生日メッセージをきっかけに、何かのタイミングで会うこともありますしね。

関係性を築くことができる人数の限界

じん
人が関係性をつくることができる数を示す「ダンバー数」というのがある。
ざっくり言うと、関係性を直接築ける人数の限界のこと。
これは脳の大きさから計算されていて、霊長類の種類によって違う。

また、部族などのコミュニティを調べても、150人ぐらい。

それを超えると違う組織づくりの方法が必要になってくる。

ちばじゅん
150人ということは、小学校の1学年(4〜5クラスぐらい)ぐらいの人数ですね。

じん
直接的関係性を築けないサイズになると、いろいろ変わってくる。
会社の規模でも「100人を超えると・・・」ということがよく言われたりするよね。

でも、SNSのつながりって、そんなもんじゃなく、1,000人とか全然いけちゃうわけじゃないですか。
たまにメッセージをやりとりする人がそこにいて、
毎日のように誕生日メッセージを送ってる(笑)
そういう弱いつながりの人がたくさんいる。
人間の脳の限界ではつながれるのは100人とか150人かも知れないけど、
SNSのような仕組みをを使うことで、弱いつながりの関係性が築きやすい社会になっている。

ちばじゅん
普通に生活してたら、その人のことを思い出さない場合でも、
誕生日のリマインドとか、タイムラインを見て、思い出す。
忘却曲線が意識されているのかどうか分かりませんが、
あれはうまいというか、すごいですよね。

チーム人数

ちばじゅん
アマゾンは、一つのチームのサイズはピザ2枚分といいますよね。

じん
ピザ2枚分?

ちばじゅん
ピザ2枚を食べて、みんなのおなかが一杯になるくらい。
要するに6人とか、そのくらいです。

アメリカのピザは大きいのかも知れませんが、(笑)
とにかく、6人ぐらいのサイズなら1つのチームとして機能する、と。

じん
「ピザ2枚分」か。それいいね。おもしろい。

ちばじゅん
おもしろいですよね。たしかに飲み会も10人だとみんなとしゃべれないけど、
6人だったらみんなとしゃべれるかな、って感じがします。

僕らの研修のチームは、基本1チーム6人。最大でも8人までを上限にしています。

じん
そうだよね。うちの研修プログラムでも、
グループサイズをすごく大事にしています。

人数によって、関係性が変わってくるんですよ。

1人と2人は全然違う。
2人は、自分以外の誰かが居る。

第三者が初めて現れるのが3人。3人以上と2人も全然違う。
相手と自分のことだけ考えていればいい、1対1の関係性の中で話をすることと、
もう1人増えて3人になったときに話すことは、実はまったく違う内容になる。

最低3人以上じゃないと、複雑な話し合いは起こりにくい。

話し合いのグループサイズとして適正なのは4?7人。
8人になったら、2で割って4人ずつにする。
これくらいなら、ファシリテーターがいなくてもなんとか話し合いができる。

ちばじゅん
うちでは、通常は1チーム6人ぐらいでやります。
8人にする場合は、あえてコミュニケーションがとりにくい関係性を体験してもらうときですね。

じん
ゲーム的にはコミュニケーションが取りづらい状況を体験するのもありだよね。

ちばじゅん
コミュニケーションがテーマになっている研修の場合は、
あまりにもチームあたりの人数が少ないと簡単になり、学びも弱くなってしまいます。
そこで1チーム6人とか8人にして、
コンセンサスが取りづらい状況にすることもあります。

じん
おもしろいなぁ。
研修とゲームの話をしているうちに、人のネットワークの話になってたね(笑)

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