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第73回『心理的安全性とチームビルディング』

2018/01/11

  
チームビルディングの話をしよう
今回は対談をお休みし、久しぶりに河村甚コラムをお届けします。
ちばじゅんさんとの対談の中でも出てきた
「心理的安全性」とチームビルディングについての考察です。

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心理的安全性とチームビルディング

組織をチームビルディングして行くために心理的安全性が大切であるという事が言われています。Googleが成果の上がるチームの要因を調査したところリーダーシップスタイルなどの共通点は見つからなかったものの、唯一共通する要因が心理的安全性であると発表したとのニュースから一気に広まりました。

今回はこの心理的安全性を探って行きたいと思います。

 

まず、心理的安全性が保たれている状態とは、自分の発言や行動がチームのメンバーから拒絶されたり、否定されたりする不安が無い状態。自分がちょっと言いにくいことを言っても安全だと思えるような状態を言います。存在そのものを受け入れ合っていることが信じられる状態で、メンバーに対する恐れが無く、受け入れられているため、自己肯定感も高い状態のことです。

心理的安全性については実は最近の大発見という事でもなく、 古くは1960年台からMITのエドガー・シャイン、ウォレン・ベニスなどがその必要性を論じていたようです。近年ではハーバード・ビジネススクール教授のエイミー・C・エドモンドソンの研究が有名です。

 

エイミー・C・エドモンドソンは、スペースシャトルの事故や病院の医療現場などの例を挙げて心理的安全性が保たれていないために起こる重大なリスクの話から、心理的安全性の重要性を訴えます。心理的安全性が欠如している状態では、「上司に怒られるかもしれない」「無能だと思われるかもしれない」「自分の価値観が否定される」などの恐れから言いたいことが言えないのです。

自分が気づいている大切なことを言うよりは、むしろ他者から否定されないように自分の安全を守ることが優先されるのです。

 

心理的安全性が高い環境ではそういったミスを防ぐ効果だけでなく、組織の中の誰も答えを持っていないような問題に取り組んで行くときにも有効です。今、多くの仕事は絶対的な正解があるものをその正解の通りに正しくやっていればいいルーチンワークが減り、逆に不確実性の高い誰も答えを知らない問題に取り組む仕事が増えています。今後、さらに増えていくでしょう。そういった環境ではブレインストーミング的なクリエイティブな話し合い方が求められます。

「判断、結論付けは後回しにする」「突飛なアイデアを歓迎する」「質より量を出す」「お互いに便乗し合う」などのルールに則って話し合おうとした時に、心理的安全性の欠如した場ではこういったことにとても勇気が必要になり、それよりは自分の安全を確保しようとなってしまいます。逆に心理的安全性の高い場では、敢えて「ブレインストーミングしよう!」などと設定しなくとも日常の中にこういったことが自然と起こっています。

 

心理的安全は、組織にとって大きなメリットをもたらすのは確かな事です。しかし、心理的に安全な場を実際に生み出そうとすると「あれ?何かおかしい?」と思うことがあると思います。それは失敗しても受け入れ合い、規律が無い状態を生み出すことになり、目標達成どころか全くだらしのないなれ合い組織になってしまうのではないか?という懸念です。

心理的安全だけを扱っていたら結果を出すチームではなく、本当にただの友達同士の集まりのようになってしまうでしょう。

 

そこで心理的安全と並んでチームに必要なのは、明確なゴールの共有とメンバーの主体性です。メンバーの主体性は「仕事をやらされている」のではなく、「自分が思いを持って実現したいことを実現する」という気持ちから生まれます。心が動くと行動に繋がります。明確なゴールに共感し、それを実現したいという思いを共有したチームが素晴らしい成果を出します。しかし、このゴールの共有だけでは組織の結束は強くなるかもしれませんが、心理的安全が確保されているわけではなく、むしろ放っておくと心理的安全は低くなることがあります。結束が強い組織ではその和を乱さないという力が強く働き、それを守ることが何でもオープンに話するような事と相反し、つまり心理的安全性が低くなるという事が起こるのです。(例えば「みんなでNo. 1目指して頑張ろう!」と言っているときに「ホントに大切なのはNo.1になることじゃない」とは言いにくいと感じるなど)

 

チームビルディングでは「心理的安全性」と「主体性に基づいた明確なゴールの共有」の両輪が必須です。短期的にはどちらか一方でも上手くいくかもしれませんが、本質的にはこの両方が必要です。

どちらか一方にばかり目が向いて、もう一方をおろそかにしないことがチームビルディングには必要です。

 

参考文献
「チームが機能するとはどういうことか」 エイミー・C・エドモンドソン(2014)




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