HOME 河村甚の連載コラム 第94回『チームビルディングは楽じゃない(2)組織の上の人の難しさと下の人の難しさ』

第94回『チームビルディングは楽じゃない(2)組織の上の人の難しさと下の人の難しさ』

2018/11/01

  
チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、
代表河村がチームビルディングを切り口に
さまざまなテーマでいろいろな人と話し合った様子をお届けしています。
 
◇今回の対談のお相手は・・・
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飯島 邦子 氏 (組織開発ファシリテーター プロセスデザインコンサルタント)

元IT系。システム構築プロジェクトのマネジメント経験で、やっぱり人だと気づいて方向転換。ファシリテーションと出会う。2011年独立、PROCESS Laboratory主宰。ファシリテーションを軸にNPO支援や中小企業の組織活性化や研修事業をしつつ、持続可能な開発のための教育(ESD)を推進するコーディネーター育成プロジェクトに関わる。2016年からは㈱ジョイワークスにも参画し、現在は、個人事業・企業活動・NPO活動という3つの器を通して、人と組織、そして社会の持続可能性の探求を軸に活動中。
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目次

 

飯島 邦子さん(写真左、以下くに)
前回、ミドル層からトップに働きかけていこう、という話をしましたが、
正直いうと、実は下から上への働きかけはすこぶる難しいと思っているんです。

働きかけは上から行う、もしくは
下が上に働きかけられる環境(=ものが言える状態)を
上が先につくるのが肝かなぁ・・・と。

私とボスの関係はものが言える状態でした。
だから私から「ファシリテーションっていうのがあってね」という進言ができた。
でも、ボスとその上の経営層は、ものが言える関係ではなかったんですよね。

河村 甚(写真右、以下じん)
なるほど、

組織のトップの人の悩みとしてよく聞くのは、
「思うようにみんな動いてくれていない」ということ。

「こういう風に組織をしていきたい」
「こういう結果を出していきたい」

「それなのに、どうしてうちのみんなはできないんだろう」
「どうしたらできるようになるのか」
トップはそう思っている。

ミドルの人がトップの人を変えるためには、自分がトップの人の観点で見ることができないと難しいと思う。

くに
難しいですよね。
ミドルがトップ(経営)の視点を持つことは、なかなかできないですよね。
どうしても自分ところだけ、個別最適しようとしちゃう。
さらには、その横で競争が起こったりすると余計に協力しようとしないから・・・。
でもそれは、無自覚に、悪気無く、一生懸命に仕事するからこそだと思います。

少し上の視点から観ると横のつながりがどうなっているのか、
ミドルがもう少し俯瞰して観ることができるようになるといいのではないかと思います。

じん
そうですね。トップの人にも、問題がある。
「どうしてうちの連中はできないんだ」「どうしたら自分で考えて動けるんだ」
と悩んでいながら、実は自分が全部マイクロマネジメントしてることが原因だったりする。

くに
そうなんですよね。

じん
トップがマイクロマネジメントをしていると、当然みんな考えなくなる。

くに
うんうん。ジレンマだね。

私のプロジェクトでも同じことが起きてましたね。
作っては、違う!やり直しては、違う!が繰り返されて。「もう考えてもしょうがない」っていうマインドになっていった。
トップも自分の組織への想いが強いですからね、そこ手放せないんだと思います。

じん
ミドルの人が何ができるかを考えるには、
トップの人は何を考えていて、どこで困っていて、
自分のどこが困らせてるのか・・・ということを見ていく必要がある。

トップの人が、「うちのミドル層は、もっとこういう風に下をマネージしてくれたらいいのに」と思っている悩みと、ミドルの人が悩んでいることは大体同じ・・・というのもよくあるケース。入れ子(フラクタル)構造になっている。

くに
入れ子。実は同じ体験をしているってことなんですね。

それがわかるようになるためには、話し合わないと始まらないですねぇ。

で、上の階層の人たちって、自分は話し合ってると思っているんですよ。
でも実はちゃんと話し合ってない。

情報がどこかで止まっているんですよね。

情報が止まってしまわないような、何かの場が必要だと思います。

じん
情報が止まっている状態って?

くに
例えば、トップが1つ下の人に、何かを伝えたとします。

下のその人は、その言葉自体は受け取った。だけど意味付けは中途半端。
そうするとその下の人にはトップの想いは伝わりません。

逆に、下の人は下の人で、「こんな風に受け取ったよ」ということは返していない。
そのせいで、上の人は伝わったつもりになっているかもしれない。

「伝わっているだろう」「伝えているつもり」
「受け取っているつもり」「聞いてない」
・・・そういうことがいっぱい起こっている。

あと、そもそも相手をデキナイ人と思って話を聴いてしまっていたり
自分と同じ言葉を相手も理解できると思って話してしまったり

そういうことが、組織の中で起きている気がします。
そんな情報、つまりコミュニケーションの流れをうまいこと流してあげる場が必要なのではないかと。

じん
なるほど。

くに
その状態を、話し合いによる組織作り・・・対話型組織開発で打破できるのではないかと。

じん
そうだね、できると思う。話し合い方を変えればいい。

 

ピラミッド型組織とフラット型組織

じん
どのような環境においても成果を上げられるな完璧な組織構造は存在しない。
しかし「この環境ではこの組織構造の方がうまくいく」というのはある。

一つは、機械的組織/ピラミッド型組織。
もう一つは、有機的組織/フラット型組織です。

こういう環境の時はピラミッド型組織の方がうまくいく、とか
また、別の環境下では、よりフラットな有機的なつながりをもった組織構造がうまくいく、ということがわかっています。
「こういう時はこういう組織構造の方がうまくいく」ということは明確なので、
それをうまく使い分けられればいい。

先ほどの情報の話もこれとつながる。
一本線のコミュニケーションをとっているから、情報の格差が起こるのであって、
みんなが一緒にコミュニケーションをとっていれば、情報格差は起こらない。
全員が同じように情報を共有できるようにすればいい。

くに
実際には、組織が大きくなると一緒にコミュニケーションっていうこと自体ができないので、だからこそミドルアップダウンのコミュニケーションが大事なんだろうなぁ、って思っています。

“チームち~む”でやる合宿のテーマの「ミドルアップダウン」は、
SECIモデルの野中郁次郎さんの話を参考にしています。
彼が「組織の中に結節点=BAが必要だ」と言ったそうなんですが、
まさにそれが必要なのではないかと。

じん
実は、情報を正確に伝えるだけなら、ピラミッド型の方がうまくいく。誰かが正解を持っていることを正しくきちんとやるときにはピラミッド型の方がうまくいく。

くに
なるほどね。

じん
誰かが正解を持っていることは、ピラミッド型がうまくいく。
だけど、誰も正解を持っていない課題に対しては、フラットな有機的組織の方がうまくいく。

課題によって、これらの組織構造をどう使い分けるかっていうのがポイントですね。

くに
そうですね。今の時代は、正解があることは殆どなくて。でも組織や役割も評価も、いまだピラミッド構造。
そんなところにきて、お互いに話し合うことがないので、歪みが生まれるんでしょうね。

ただ、課題によって、組織の構造が使い分けられる組織って、現状は少なそうですね。

 

言葉の違いと伝える難しさ

くに
先ほどのじんさんの話をお聞きしていて、
すごく共感すると共に、疑問が生まれているんですけどいいですか。

例えば、
経営層が考えて使っている言葉と末端が使っている言葉って違うじゃないですか。

だから、トップの言葉として大きなビジョン・目標が語られても
何となく遠いものとして受け取ってしまっていて、
末端では自分ごとにならないということが起こる。
だから、相手に受け取れる言葉に変えていかなくてはならないと思ってるんです。

数字や「これをやれ」を伝言ゲームで落としていくと、当然考えない状況になる。
それでも考えるようになるためには、意味として通るものにしなければならないのではないか。
これがなかなか難しいんですけどね。

じん
ピラミッド型の縦の一本線のライン・・・
社長が部長に伝える、部長が課長に伝える、課長がメンバーに伝える・・・というような
縦の流れの中で下の言葉と上の言葉が違う場合、どう伝えればよいかというと、
言葉を変えていく必要が絶対にあります。
相手に伝わる言葉に翻訳することが、マネジメントでは必須です。

さらに言えば、
下にいるAさん、Bさん、Cさん・・・メンバー一人ひとりによっても伝わり方は違う。
だから、Aさんにはこう、Bさんならこう、Cさんならこう・・・というように、
伝え方を変えなくてはなりません。

例えば、単に「売り上げ上げろ!」と言われてもやる気がわかない人もいます。
人によって、
数字が上がるだけでハッピーとか、
売り上げが上がるとインセンティブでこれだけ入るんだよ、ということが響くとか、
売り上げやインセンティブには興味がないけど、
これによってお客さんがこんなに喜んでくれるんだよ、と言うと響くとかね。

少しテクニック的かもしれないけど、
実現したいことを一人ひとりに伝わるか、ということは
ピラミッド構造でマネージしていく限りは、
ミドルの人がやる必要があるし、そこが肝になりますね。

くに
それ意外と難しいですよね・・・。

じん
普通は難しいよね。でも、なぜできないかというと、それは一人ひとりを見てないから。

Aさんはこう、Bさんはこう、とは見てなくて、「あいつらは」という感じで見ている。
言われたことをそのまま伝えるだけ。それなら中間は要らないよね、という話。

くに
人それぞれに合わせた関わりって、本当に難しい。
一般的なマネジメント研修だけでは習得できないような気がしてます。

今ミドルアップダウンの場をテーマに考えているのも、
マネジメント自身が自分をふりかえる仕掛けが必要なんじゃないかと思っているからなんです。
周期的にふりかえるためのマネジメントチームの場が出来たらいいなぁって。

じん
今はシステム的にはフラットにつながることが非常にやりやすい。
世の中のツールが発達して、フラットにつながりやすい仕組みがあるのにもかかわらず、
真ん中に人がいるということは、人が人に関わって、そしてどう機能させるかが重要だということ。
ミドルの人は、そこのスキルを磨く必要があるよね。

くに
意志あるミドルは、色々勉強はしていると思いますよ。
FAJに入る人たちには、自らそういうミドルのスキルを学ぼうとして入ってきている人が多いと思います。

じん
たしかに。その思いが“チームち~む”の「ミドルアップダウン」企画にもつながっているね。

くに
私自身のことでいえば、
前出のフォロワーシップの研修を引き受けた時、考えたことは、「上の人に何かをしてもらおう」という考え方よりも、「今の自分でOK」ということと「下の人が上の人にどう伝えていけるかを考えること」が大事だと考えました。

また、上の人も下の人も、どちらも、相手にわかるように伝えようとすることに加えて、
「こう伝わっています」「わからないことは○○です」とお互いに伝え合うことが
必要なのだと考えています。

このような話し合いができる場をつくっていくためにできることは・・・ということを
いつも考えています。
わたしが組織に向き合って仕事をする上で大切にしていることです。




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