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チームビルディングジャパン > 河村甚の連載コラム > 第42回『介護とコミュニティづくり(3)認知症から学ぶコミュニケーション』

第42回『介護とコミュニティづくり(3)認知症から学ぶコミュニケーション』

2016/11/03
チームビルディングの話をしよう
2015年4月から始まった連載コラム「チームビルディングの話をしよう」では、代表河村がチームビルディングを切り口にさまざまなテーマでいろいろな人と話し合った内容をお届けいたします。

※今回の『介護とコミュニティづくり(3)認知症から学ぶコミュニケーション』は、
しゃくじいの庭」という小規模多機能・グループホームの運営に携わっていらっしゃる
安井英人さんとの対談です。
 
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河村甚(写真右、以下 じん)
認知症の方とコミュニケーションをとることについて、少し前にも安井さんはその魅力を語っていましたよね。一般的にはコミュニケーションを取るのが難しいとみられる方たちと、どのようにコミュニケーションを取っているのかや、自分の在り方や姿勢といったことを伺えればと思います。

たとえば、さっき一緒に2階を案内してもらったとき、とても自然にコミュニケーションをとっている感じがしました。相手の認知症の方が、いい表情をしていました。話しかけられたときに変に構えてないし、ありのまま感があって、自然な受け入れあい、明るい空気を感じました。


安井英人(写真左、以下 安井さん)
最近よく思うんだけど、言ってみれば、禅の修行みたいですね。ものすごくこちらの気持ちが穏やかであることが求められるんですよ。というのは、認知症の方は不安が感情や行動に如実に出るんですよ。基本的に、わからなくなっていくわけです、できたはずのことができなくなっていくわけですから。だから、こちらは穏やかに受け入れてあげなくちゃならない。

これは余談ですけど、「赤ちゃん返り」とか「赤ん坊に返る」という言葉は絶対に間違っています。認知症は、赤ちゃんと同じではない。まるっきり逆です。赤ちゃんはこれから明るいところに出ていって、知らないことを知って、どんどん楽しいことが増えていく。認知症の方は、昨日できたことが今日できなくなる。知らないことが増えて、どんどん暗闇に入っていくわけですよ。

認知症の方に対するとき、こちらがそれを想像することができなくてはダメ。明るくはしているし、明るい話題を振っていくといったテクニックはあると思うんですが、その前提として、こちらが気持ちがザワザワしていると、認知症の方はすぐにイライラとなってしまう。そういう負のスパイラルに入ると、ご本人は不安のどん底に入っていってしまいます。

場面が転換すると忘れてしまっているんですけどね。うつろいやすいんだけど、その時その時で真剣に対応しなければならない。「どうせ次の瞬間忘れてるんだから」とやってはダメなんですよ。本当に試されます。僕がどれだけ真剣にその人のことを見ているか。

それって本当は、普段のコミュニケーションも同じなんだと思います。認知症の方とのコミュニケーションが”言語的に”難しいっていうのはそうだと思います。ロジカルにはならないですから。

だけど、論理的によくわからないことをおっしゃった時に、「それは何を言おうとしているのかな」ということを探っていくわけですよ。で、その人の家族とか歴史・背景とかの情報を想像しながら相槌を打つと、「わかってくれた」って穏やかな表情になってくれたりするんですよ。単語だけ繋ぎあわせてもわからないけど、「この人が今言いたいことはこういうことかもしれないな」と持ってる情報を総動員して推測する。

そんなときにコミュニケーションは成立していると感じるわけです。認知症じゃなくても同じですよね。「コミュニケーションとは?」という視点でも考えると、メチャメチャ面白いし勉強になると思います。


じん
勉強になりますね。相手が認知症の方ではなく一人の「人」として話を聞いていると、ありがたいファシリテーター研修みたいですね(笑) 安井さんがリアルな現場で向き合っているから響くのかもしれませんが。認知症の方とコミュニケーションをとることが経験できたら、学びが多いと思います。


安井さん
急に理不尽なことで怒ってくる電話とか、日常的にあるじゃないですか。誰だかも名乗らないまま、いきなり主題だけ言ってくるとか。「無礼だな」「名前先に言ってくださいよ!」となってしまうと、負のスパイラルに入ってしまいます。「この人は誰なんだろう」「この人は何に怒っているんだろう」「この人はそもそも何の話をしたいんだろう」といったことを冷静に思えるかが大事だと思います。

認知症で特にキツいのは家族です。これまで普通に話していた親がそういうことを言い始めたときに、認知症だとわかったとしても「いい加減にしてくれよ」「何べん言わせんだよ」となってしまう。仕事じゃないから。自分にとってはいつまでたっても親だから。

だからこそ、介護事業者の入る意味があるわけです。家族介護は無理しちゃいけないと言われるし、僕もそう思います。必ず我われみたいな第三者とチームを組まないと続かない。

さっきの冷静に聞くみたいな話を家族に言っても、「そうですよね、やってみます」とは多分ならない。自分に置き換えて想像してみても、自分の親にそんな対応ができる自信はないですよ。この経験で介護や認知症の知識は蓄えられたかもしれないけれど、ぱっとした時には親と子の関係しか出てこないだろうから。僕の親は認知症ではないけど、「今俺が親にしている対応や言葉の投げ方はまずいなあ」とか自分に返ってきてます。「今こう言いたがってたんだろうなぁ」とかも思ったりしています。言っちゃった”後”でね(苦笑)


じん
そう置き換えて考えると、深いですね。


安井さん
認知症の方を介護の対象ということだけで考えていると大変なだけかもしれないけど、僕の場合は自分のプロフェッショナリティと結びつけながら見てるから、もう離れられないという感じです。さっき教えられるって言ったけど、いろんなことがすごくシンプルになっているので、認知症の方と一緒にいると根源的なことが見えやすいんですよ。

生きるとは?
時間とは?
記憶とは?
家族とは?

そういうのを考えるんですよ。

毎日毎日同じことを聞かれて、今言ったことを覚えてないから、すぐにまた質問されて、今言ったばかりのことをもう一度言って確認する。すると、「ええっ!」と驚かれる(笑)

そこで「だ・か・ら!」はダメ。コミュニケーションとしては負けなんですよ。その人が新鮮に驚いて質問しているんだから、「こうなんですよ」って返してあげる。ね、禅の修行みたいでしょ。


じん
普段のコミュニケーションでも似たようなことがある気がします。

コミュニケーションって、内容を伝えることと関係性をつくることの2つの意味があるとしたときに、関係性をつくるという意味のコミュニケーションだと、内容はまったく関係なかったりすると思うんですよ。

伝えて受け取って、受け取って伝えてというやり取りを繰り返す。同じ話が繰り返されていようが関係ない。日常のコミュニケーションのなかであるなぁ。リアクションとしてとりあえず驚くとか普通にあるなあと思って。昨日も同じ話をしてましたよね、なんて。


安井さん
今のポイントはすごくいいと思う。バーバルな(言葉を使った)コミュニケーションには「意味を伝える」という意味が主にあるけど、同時に「関係をつくる」ということがある。そのことを職員がみんな同じように共感できなきゃいけないと僕は思っている。

つまり、意味を伝えないといけないとだけ思っていると「だ・か・ら!今言ったでしょ!」となってしまう。そんなこと言われても、認知症の方はわからないんですよ。認知症の方の中には30秒前に聞いたことを覚えていない人もいるんです。「わからないから聞いてるのに、なんで怒るの」って。

これは関係づくりのコミュニケーションである。何回同じことを聞かれても同じように答える。職員はプロなんだからそれができなくてはならないって僕は思っていて、それを職員に「よくわかりません」と言われると、僕も「だ・か・ら!」って怒ってしまうんだけど(笑)


じん
深い、入れ子になっていますね。その人の体の状態、心の状態が出るじゃないですか。


安井さん
まあ、対する職員も人間だからね。深い、修行です。



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