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第9回『組織づくりと人づくりに必要なもの』

2019年05月30日

チームビルディング・バイブル

 

―― 前回まで「今、なぜフラット型組織が必要なのか」についてお話を伺ってきました。
しかし、自分が所属する組織をフラット型に変えるとなると、実際には難しさを感じる方も多いようです。

 

河村 甚(以下じん):そうですね。ピラミッド型組織をフラット型組織に変えていくのは簡単なことではありません。
でも、その方法はとてもシンプルで当たり前のことばかりです。一つひとつを丁寧にやっていけばフラット型組織を作っていくことができます。

 

―― フラット型組織を作っていく方法があるのですね。

 

じん:フラット型の組織づくり・人づくりに必要なものは、大きく分けて3つあります。

一つは「組織を一つにするもの」。組織を束ねるものです。
もう一つは、「ベースとなる組織文化」。その会社のベースとなるカルチャーです。
そして「組織が学習し、進化し続けるための行動」。この3つです。

この内、組織文化と行動の部分というのは互いに影響し合っています。行動は組織文化から生まれ、文化は行動から生まれ、という関係性があります。

 

―― まずは、「組織を一つにするもの」とは。

 

じん:「組織を一つにするもの」には2種類あります。

自分たちらしさ
組織のコアや軸となる、真ん中にあるものです。組織の存在意義などに由来します。

目標、ビジョン、ゴール
その組織が向かって行く方向を示したり、実現する未来の姿を示したりするものです。

「自分たちらしさ」が自分たちの内側にあるのに対し、「目標、ビジョン、ゴール」は、外側の目指す状態、あるべき姿というものです。

「自分たちらしさ」と「目標、ビジョン、ゴール」をしっかりと(形だけでなく思いも含めて)共有することにより、組織は一つになっていきます。

 

―― 次に、「ベースとなる組織文化」とは。

 

じん:ベースとなる組織文化、つまり「こういう組織文化があれば、フラット型組織を作っていけますよ」というものには、大きく分けて3つの要素があります。

心理的安全性
言いにくいことも遠慮なく言い合えるような心の安全が組織内で感じられ、「何か言ったら怒られるんじゃないかな」「これを言ったらまずいかな」というようなことがない状態は、心理的安全性が高いといえます。
フラット型組織では、お互いが思っていることを忌憚なく話し合える関係性であることが重要です。

多様性と受け入れ合い
画一的でなく、多様なメンバーがいることによって、組織はより有機的に生きていくことができます。
ただし、多様ならそれでいいわけではありません。単に多様性があるだけでは、組織としてはバラバラです。
多様なメンバーによって構成されたフラット組織では、異質なものを排除するのではなく、お互いの違いを認め、受け入れ合い、活かし合う組織文化があります。

主体性
フラット型組織ではピラミッド型とは異なり、組織にぶら下がっていたり、仕組みの中に乗っかっていたりするだけでは、何も起こらないし動きません。
フラット型組織では、一人ひとりが組織の中でオーナーシップを発揮し、主体的に発信したり行動したりすることが求められます。

 

―― 最後に、「組織として学び、進化し続けるための行動」とは。

 

じん:ピラミッド型組織では、同じことを型通りにやり続けていればうまくいきますが、フラット型組織ではそうはいきません。常に組織として学習し、進化し、成長していくということが求められます。そのためには次の4つの行動が必要です。

混ざり合いを起こす
混ざり合いとは、赤か青かではなく、赤と青の縞模様でもなく、混ぜ合わさって紫になることです。
混ざり合いがないと進化はおきません。
組織の進化を促す混ざり合いを起こすためには、他のメンバーに関わり掛けたり、アイデアに便乗したり乗っかり合ったり、他者の発信を受け入れたりしていくことが必要です。
ピラミッド型組織は、縦割りのサイロ型になっている組織が多いですが、フラット型では部門間コミュニケーションや、メンバー間のコミュニケーションが活発に行われています。

失敗や異色な発想を受け入れる
ピラミッド型組織では、失敗しないことを重要視するという特徴がありますが、フラット型組織では逆に、失敗を積極的に受け入れます。
なぜなら、失敗や異色な発想を排除してしまうと、新しいものが生まれてこなくなってしまうからです。
未知の課題に挑戦する際に、失敗しないということはありえません。
失敗や異色な発想を受け入れることが、組織が進化していくためには必要です。

行動量やコミュニケーション量を増やす
とにかくたくさん行動する、とにかくたくさんコミュニケーションをとるということも、新たな進化を生むためには必要です。
フラット型組織で取り組む課題には「正解」がありません。
未知の課題に取り組み、未来を切り開いていくのですから、正解は誰も知らないし分からないのです。
とにかくプロトタイプを試して、「これはダメだった」「これはうまくいく」ということを見つける必要があります。
そのためには、たくさんの行動量やコミュニケーション量が大切だということになります。

リフレクションを行う
たくさんやってみるということは大事ですが、ただやりっ放しでは意味がありません。
行動した結果や過程を観察して振り返り、次へ反映させる意味付けを行っていくことが重要です。
行動したらリフレクションを行い、そして次へ…また行動し、リフレクションして次へ…というサイクルを繰り返し回していくことが、組織を進化させていきます。

フラット型組織を作るために必要なことは、シンプルにとらえると、3カテゴリー9要素だけです。これらに丁寧に取り組んでいけば、フラット型組織は作ることができます。

▽ フラット型組織を作るために必要な9つの要素(Happyに働ける場の作り方)
https://www.teambuildingjapan.com/happyproject/

次回以降のコラムでは、実際にこれらの要素を活かしていけるよう、より具体的に解説していきます。

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