HOME 河村甚の連載コラム 第65回『D&I 違いを活かす考え方、あり方 』

第65回『D&I 違いを活かす考え方、あり方 』

2021/07/22

ダイバーシティ&インクルージョンとはどのようなものなのか、チームが成果をあげるために多様性を活かすにはどうしたらいいのかということをチームビルディングの観点で解説してきました。

 

1)違いから新たな価値を生み出す
http://www.teambuildingjapan.com/column/b058.html

2)対立はなぜ起こるのか
http://www.teambuildingjapan.com/column/b059.html

3)同じものを見てもその意味は人によって違う
http://www.teambuildingjapan.com/column/b060.html

4)多様性から新たな価値を生み出す
 1.集団的知性
http://www.teambuildingjapan.com/column/b061.html
 2.「違いから『今までなかったもの』を生み出す方法」
http://www.teambuildingjapan.com/column/b062.html

5) 「個性とは他者との『違い』の中にあるもの」
https://www.teambuildingjapan.com/column/b063.html

6)違いを超えてチームを一つにするもの
https://www.teambuildingjapan.com/column/b064.html

 

最後にダイバーシティ&インクルージョンのまとめ(総括)です。
今回は、ダイバーシティ&インクルージョンの前提となる捉え方やあり方を、
そして次回は、日常のなかで実行できる具体的な行動をご紹介します。

ダイバーシティ&インクルージョンに限らず、チームビルディングでは具体的に何をすればよいのかに目が向きがちですが、表面的な行動だけでは効果が表れにくいものです。
まずは実践するにあたって大切な捉え方・あり方のポイントをしっかり理解しましょう。

 

■「自分の当たり前は相手の当たり前と違う」

ダイバーシティ&インクルージョンと聞いたときに何を連想しますか。

 ジェンダーの違いによって当たり前が違う
 人種の違いによって当たり前が違う
 もっている障害によって当たり前が違う・・・

これらはイメージしやすいダイバーシティです。例えば、「目が見えない人たちにとっての当たり前と見える人にとっての当たり前は違う」ということは理解しやすいと思います。

みなさんに意識していただきたいのは、一見分かりにくいダイバーシティです。
日常のなかにもたくさんの異なる当たり前があり、同じように見える人も一人ひとり違う当たり前を持っています。

つまり、「一人ひとりが全て多様である」という前提に立って、自分の当たり前と相手の当たり前は違うと捉えるということ。これが大切です。

自分にとって「常識でしょ」と思うことでも、相手にとってはそうでないかもしれないし、相手にとっての「常識」が自分にとってはそうではないことがあるという前提に立って考えましょう。

 

■「あいつは分かってない」

ダイバーシティによって対立や分断を感じることもあるでしょう。

対立を感じたとき、つい「あいつが分かってない」「あいつが悪い」と相手を責めがちです。
人は自分にとっての当たり前に基づいて生きていますから、「間違っているものは直さなくてはならない」と考えてしまいます。

しかし、対立や分断を感じたときには、相手を責めたり攻撃したりするのではなく、純粋な「違い」として捉え直しましょう。

「あいつはおかしい」「間違っている」 「分かってない」「なんで分からないのか」「分かってもらえてないな」と感じたときにはまず、純粋な違いとして受け止めることを意識するようにします。
最初は難しく感じるかもしれませんが、多様性を認めるには、純粋な「違い」として捉えることが大事なポイントになります。

 

■「違いは間違いではない」

単なる 「違い」を「間違い」だと捉えてしまうことが非常に多くあります。
「相手が間違っている」と思ったときには、それを「違い」だと捉え直してみることが大切です。

「間違い」と「違い」の線引きは非常に曖昧で、 特定の環境下では間違っているけれど、他の環境では間違いではない、ということも多くあります。

例えば、接客の仕事のケースを考えてみましょう。
お客様に対しタメ口の従業員に対し、「お客様に対しては敬語で話さないと失礼にあたる。タメ口をきいてはならない」と間違いを指摘し、直させたとします。

その職場環境ではそれが正しいことであり、明らかな「間違い」としてタメ口を直させることが必要なのでしょう。しかし、タメ口接客がよしとされる店もあります。環境が変われば「間違い」ではなくなるのです。

なんでも「間違っている」と捉える組織は、「違い」を許容できなくなります。「本当にこれは明らかな間違いか?」「本当にこの線引きで間違ってないか?」と考えてみましょう。
そうすることで「もしかしたら、うちの店でもタメ口接客が有効かもしれない」ということに気づけるかもしれません。

「違い」をなんでもかんでも「間違い」と捉えがちです。「間違い」ではなく「違い」かもしれないと疑問をもつことが大切です。

 

■「違いは恐れるのではなく尊重し合う」

「違い」は恐れてしまうものです。例えば、人種間対立も違いに対する恐れから生まれています。
恐れるがために違いを隠そうとしたり、異質なものを排除しようとしたりします。

しかし、「違いは間違いではない」という前提に立つと、違いを恐れることは無くなります。
純粋に違うだけであり、違いは違いでしかないと捉えることができると、お互いに異なることを尊重し合えるようになります。

違いを恐れると、隠そうとしたり攻撃したりしがちですが、違うことは当たり前。違いは恐れるのではなく尊重し合いましょう。
その意識を持つことがあらゆる行動のスタート地点となります。


■「自分の正解にしがみつくのをやめる」

誰しも自分にとっての当たり前、自分の正解、自分なりの正当性を持っています。

自分の当たり前が相手の当たり前とは違っているかもしれない・・・とは考えられず、自分の正解にしがみついてしまいがちです。
そして自分の正解にしがみついた結果、しばしば相手を攻撃してしまいます。

それを避けるためには、しがみついていることをまずは意識できるようになりましょう。
そして、しがみついている自分の正解を手放してみましょう。

相手を攻撃してしまうのは、自分の正解にもとづいて判断しているからです。
手放すのは苦しいかもしれませんがとても大事です。

例えば、職場の会議でよくしゃべる人としゃべらない人の差がある、という相談をよく受けます。
「会議では自ら率先して話すべきだ」と自分の正しさにこだわりを持つ人は、「会議は率先し参加すべきなのになんで発言しないんだ」「以前の職場ではみんな活発に議論していた」「この会社は消極的だ」とイライラし、発言しない人に対して自分の正解を押し付けます。
その思い込み、自分の正解を一回捨ててみましょう。

そして、会議で話していない人たちはどんな捉え方をしているのかな・・・どんな正解を持っているのかな・・・どんな正当性を持っているのかな・・・と相手の当たり前を理解しようとしてみましょう。

自分の正当性にしがみつかなければ、違う視点に気づくことができるようになります。

その人はもしかしたら、上司がずっと話しているから、上司が話し終わるのを待っているのかも知れないし、差し出がましく話すことは周りにとって迷惑だと思っているのかも知れません。

自分の正解を押し付けていると相手を否定しがちです。
自分の正解を一旦保留して、他の人はどのような正解を持っているかを理解するようにしましょう。

もちろん自分の正解を捨てる必要はありません。その人にとっての「正解」は、その人のこれまでの経験の積み重ねであり、その人だからこそ持っている良いところです。
自分の個性や自分らしさを捨てる必要はありませんが、自分自身の正しさにこだわって他の人を否定することはやめましょう。


■「自分とは異なる相手を理解したい好奇心をもつ」

違いがあると、つい「自分の考えを相手に理解させよう」というアプローチになりがちです。
しかし、相手に理解させるのではなく、相手を理解しようとしましょう。
違いに対して純粋に興味を持ちましょう。

 この人はなんでこういう行動するのかな
 この人はなんでこういう考え方をするのかな
 この人はどうして自分とは真逆のことを言うんだろう・・・

起こっていることを純粋な違いとして受け止めてみると好奇心が湧きやすいです。

「あいつは分かってないな」という心の反応が生まれたら、「何がここにある違いなのかな」「この人の持っている当たり前は何なのかな」と違いをそのものを好奇心を持って受け入れてみましょう。


今回は、違いを生かすための前提となる考え方・捉え方のポイントをお伝えしました。
次回からは、日常ですぐに実践できる具体的なアクションをご紹介していきます。

 




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