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第56回『社会はひとつのチームだとしたら、どこへ向かえばいい?』  ── 資本主義の限界と、循環する社会の可能性

2025年05月07日

社会をチームと見立てたとき、どこへ向かえばいいのか?

「チーム」と聞くと、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?

部活動やプロジェクトチーム、会社の部署など、小さな集団が思い浮かぶかもしれません。でももし、私たちが暮らす「社会」全体を、ひとつの大きなチームだと考えたらどうでしょう。

社会を、思いを共有する「大きなチーム」と捉えたとき、見えてくる風景は少し違ってきます。今、私たちの社会は急速に変化しています。テクノロジー、働き方、価値観、そして地球規模での環境や人口の問題……。どの変化も、一部の人だけの問題ではなく、チーム全体の動きに大きな影響を与えています。

では、この「社会というチーム」は、どこへ向かえばいいのでしょうか?

資本主義という直線的システムの限界

かつて、人口の増加こそが多くの社会問題の根幹だと考えられていた時期がありました。貧困や医療、食糧問題を解決するためには、子どもの死亡率を下げ、人口のバランスを保つことが大切だと。

しかし、今は少し違う視点が見えてきています。

問題の根っこにあるのは、「資本主義」という仕組みそのものではないか──。そんな問いが生まれてきました。

資本主義では、「成長し続けること」が前提です。お金を投資すれば、より多くのリターンが求められる。企業も、社会も、個人も、「もっともっと」という直線的な成長を目指して動き続けなければならない構造になっています。

気がつけば、私たちはすべてを「お金」というひとつの物差しで測るようになっていました。

「いい大学に入れば、いい企業に就職でき、いい給料がもらえる」

そんな価値観を支える学歴社会は、資本主義の縮図かもしれません。そして、そのための教育やサービスもまた、ビジネスとして成立しているのが現実です。

循環という自然のリズムを取り戻す

けれど、本来、自然の仕組みは直線ではありません。季節は巡り、植物は枯れてもまた芽を出します。命も、資源も、ぐるぐると回りながら変化していく。自然は、循環と再生の中でバランスを保っているのです。

「循環型社会」という言葉を耳にするようになりましたが、私たちはまだ、直線的な資本主義の価値観の中にいます。

環境に配慮した取り組みであるはずのESGやSDGsですら、最終的には「どれだけ経済価値に変換できるか」で評価されがちです。本来の目的からズレてしまうことも少なくありません。

このまま直線的に突き進めば、地球のエネルギーは枯渇し、食べ物も資源も回らなくなってしまいます。フードロスや環境破壊といった問題は、「もっともっと」という思考の副産物なのかもしれません。

「チーム社会」として、どんな選択ができるのか

では、私たちはこの変化の時代に、どんな選択をしていけばいいのでしょうか?

「資本主義が悪だ」と言いたいわけではありません。ただ、この直線的な成長を前提とした仕組みでは、いずれ限界が訪れるのも事実です。だからこそ、次のフェーズへと移行する準備が必要なのだと思います。

直線から、螺旋へ。
「もっともっと」から、「めぐるめぐる」へ。
社会全体をチームと見立て、思いを共有し、未来に向かってどんなリズムで歩いていくのか。

私たちはいま、その大切な分かれ道に立っているのかもしれません。

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組織は変われる!チームづくり資料DL
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