第66回『「男性育休100%を7年連続」丸井グループが証明する、文化が変われば組織は変わる』
2025年09月24日
最近のニュースの中で、組織づくりを考える上でとても示唆に富む話題がありました。丸井グループが「男性育休取得率100%」を7年連続で達成したというのです。しかも、ただ制度を利用しただけではなく、1か月以上の育休を取得した社員の割合が、前年の52%から一気に90%へと大きく伸びたというのです。ここまで徹底した取り組みが実現できている企業は、まだまだ稀でしょう。
育休制度そのものは多くの企業に整備されています。男女問わず最長2年間取得できることも法律で定められています。しかし現実には「制度があっても利用できない」という壁に直面する人が多いのが実情です。その背景にあるのは制度の不備ではなく、組織の文化です。

例えば、ダイバーシティ推進をうたっていながら「えっ?奥さんは育休取らないの?」という声が消えない職場。こうした文化のもとでは、制度上は「取れるはずの育休」も、上司や同僚からの評価を気にして「実際には取りにくい」と感じてしまいます。つまり制度が形骸化してしまうのです。
このケースのすごいところは、この文化の壁に真剣に取り組み、少しずつ「当たり前」を作ってきたことです。パートナーの出産を報告した社員に対して、上司が必ず「育休を取ってね」と声をかける仕組みを導入したこと。さらに、管理職研修を実施し、翌年には全社員に広げることで、意識そのものを変えていったこと。そして、社内ポータルを通じて「男性が長期育休を取るメリット」や「先輩社員の体験談」を発信し続けたこと。これらの一つひとつの工夫が積み重なり、文化を動かしていったのです。
文化とは目に見えないものですが、日常の習慣や小さな行動として現れます。だからこそ、日常の行動を変えることが文化を変える第一歩になります。たとえば、「子どもが生まれたら育休を取るのが当たり前」という声かけを続けることで、気づけば誰もが自然に休める空気ができあがります。丸井グループでは、まさにそれが組織文化として根付いているのだと思います。
ここから私たちが学べるのは、制度そのものを整えるだけでは不十分だということです。制度を本当に生かすためには、その背景にある文化を見直す必要があります。そして文化を変えるには、一朝一夕の研修だけでなく、日常的な行動を少しずつ変え、継続的に支えていく仕組みが欠かせません。
チームビルディングジャパンでも、単発の研修にとどまらず、中長期にわたる伴走型のサポートを大切にしています。組織の体質は生活習慣病のように、毎日の習慣から生まれます。だからこそ、日々の小さな変化を積み重ねてこそ、文化を変え、制度を生かす組織が育つのです。
もし、みなさんの組織で「制度はあるのにうまく使われていない」と感じることがあれば、その裏にある文化を見直すタイミングかもしれません。文化を変えることは時間がかかる挑戦ですが、育休のような一つの習慣をきっかけに、大きな変革へとつながる可能性があります。
制度を“使えるもの”にするか、“宝の持ち腐れ”にするかは、文化次第。丸井グループの事例は、そのことを強く教えてくれるニュースだと思います。
チームビルディングジャパンでは日常の判断や行動のベースにある組織文化からの組織づくりサポートを行っています。導入についての個別相談につきましては下記フォームよりお申し込みください。